品川区議会における会派が交付を受けて視察旅行等の経費に充てた政務調査費の使途制限違反を問題とする住民監査請求に係る監査に際し,監査委員が同会派から任意に提出を受けた文書に記録された政務調査活動の目的や内容等に係る情報は,次の(1),(2)など判示の事情の下では,品川区情報公開・個人情報保護条例(平成9年品川区条例第25号)8条6号ア所定の非公開情報に当たる。 (1) 政務調査費の交付について定めた品川区の条例及びこれを受けて区議会議長が定めた規程には,会派が政務調査活動の目的や内容等を監査委員を含め執行機関に具体的に報告しなければならないことを定めた条項は見当たらず,区議会の議員等が監査委員に対して上記目的や内容等を逐一回答すべき義務を負っているとまでは解し難い。 (2) 品川区議会の議員等が政務調査活動の具体的な目的や内容等を監査委員に任意に回答する場合,監査委員限りで当該情報が活用されるものと信頼し,監査委員においてもそのような保障の下にこれを入手するものである。
品川区議会における会派が交付を受けて視察旅行等の経費に充てた政務調査費の使途制限違反を問題とする住民監査請求に係る監査に際し,監査委員が同会派から任意に提出を受けた文書に記録された政務調査活動の目的や内容等に係る情報が,品川区情報公開・個人情報保護条例(平成9年品川区条例第25号)8条6号ア所定の非公開情報に当たるとされた事例
品川区情報公開・個人情報保護条例(平成9年品川区条例第25号)8条6号ア,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)100条13項,地方自治法(平成20年法律第69号による改正前のもの)100条14項,品川区議会における政務調査費の交付に関する条例(平成13年品川区条例第5号。平成18年品川区条例第49号による改正前のもの)8条1項,品川区議会における政務調査費の交付に関する規程(平成13年品川区議会議長訓令第1号。平成18年品川区議会議長訓令第1号による改正前のもの)5条,品川区議会における政務調査費の交付に関する規程(平成13年品川区議会議長訓令第1号。平成18年品川区議会議長訓令第1号による改正前のもの)第4号様式,品川区議会における政務調査費の交付に関する規程(平成13年品川区議会議長訓令第1号。平成18年品川区議会議長訓令第1号による改正前のもの)第5号様式
判旨
政務調査費の具体的な使途に関する情報は、議員等の任意の協力により監査委員が得たものである場合、これを公開すると将来の協力が得られなくなる蓋然性があり、監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報(非公開情報)に該当する。
問題の所在(論点)
住民監査請求の過程で、監査委員が議会会派から「任意」に提出を受けた政務調査費の具体的な活動内容等に関する情報は、情報公開条例にいう「監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」がある非公開情報に該当するか。
事件番号: 平成10(行ツ)167 / 裁判年月日: 平成15年11月11日 / 結論: 棄却
1 千葉県の職員の旅行命令票に記録された職員の給料表の種類並びに職務の級及び号給に関する情報は,千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号にいう「個人に関する情報」に当たる。 2 千葉県の職員の旅行命令票に千葉県公文書公開条例(昭和63年千葉県条例第3号)11条2号の非公開情報に当たる情報とこれに当た…
規範
情報公開条例における「監査の事務に関し、正確な事実の把握を困難にする等、事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」がある非公開情報か否かは、当該情報の性質や入手過程に照らし、公開することによって将来の同種事務において関係者の協力が得られなくなる等の具体的な支障が生じるかという観点から判断される。特に、議員等の自律性に配慮すべき政務調査費の監査においては、任意の協力によってのみ得られる情報の秘匿性が保護されるべきである。
重要事実
品川区の住民が、区議会会派の政務調査費について住民監査請求を行った。区監査委員は監査に際し、会派に対し支出の具体的目的や活動内容等の詳細な記載を求めた(本件文書)。会派はこれに任意に応じ、監査委員に本件文書を提出した。その後、住民が本件文書の公開を請求したが、実施機関は「監査事務の遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとして非公開決定とした。原審は、不回答の場合は不適正な支出と推定すれば足りるとして公開を命じたため、区側が上告した。
あてはめ
政務調査費条例等は会派の自律を前提としており、議員等は監査委員に対して具体的な活動内容を逐一回答する義務を負わず、回答拒否のみで不適正と推定することもできない。そうすると、監査委員がこれらの詳細情報を入手できるのは、議員等が「監査委員限りで活用される」という信頼に基づき任意に協力した場合に限られる。仮にこれが公開されることになれば、将来の監査において議員等が協力を控え、正確な事実把握や違法・不当な行為の発見が困難になることは明らかであり、監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
結論
本件情報は条例所定の非公開情報に該当するため、非公開決定は適法である。原判決を破棄し、住民側の請求を棄却する。
実務上の射程
行政情報の公開と事務遂行の支障の衡量に関する重要判例である。特に「任意の協力」によって得られた情報について、公開が将来の協力関係を損なうというロジックは、監査事務以外の調査・指導事務にも射程が及ぶ可能性がある。
事件番号: 平成15(行ヒ)295 / 裁判年月日: 平成17年10月11日 / 結論: その他
1 土地開発公社が個人から買収した土地の買収価格に関する情報は,公有地の拡大の推進に関する法律(平成16年法律第66号による改正前のもの)7条の適用により,同価格が地価公示法(平成11年法律第160号による改正前のもの)6条の規定による公示価格を規準として算定されたなど判示の事実関係の下においては,旧奈良県情報公開条例…
事件番号: 平成13(行ヒ)348 / 裁判年月日: 平成17年7月14日 / 結論: その他
北九州市の局長の交際費の支出に関する情報で交際の相手方が識別されるものは,交際の相手方及びその内容が不特定の者に知られ得る状態でされる交際に関するものなどを除き,旧北九州市情報公開条例(平成元年北九州市条例第22号。平成13年北九州市条例第42号による全部改正前のもの)6条7号所定の非公開情報に該当する。(反対意見があ…
事件番号: 平成18(行ヒ)187 / 裁判年月日: 平成19年5月29日 / 結論: 破棄自判
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事件番号: 平成11(行ヒ)145 / 裁判年月日: 平成15年11月21日 / 結論: その他
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