人工の砂浜の東側突堤中央付近において防砂板が破損して砂が海中に吸い出されることにより砂層内に発生した空洞の上を小走りに移動中の被害者が,その重みによる同空洞の崩壊のため生じた陥没孔に転落し埋没した事故について,同砂浜の管理等の業務に従事していた被告人らは,南側突堤と東側突堤とは防砂板により砂の吸い出しを防ぐという基本的な構造が同一であり,南側突堤沿いの砂浜及び東側突堤沿い南端付近の砂浜において繰り返し陥没が発生していたことを認識し,その原因が防砂板の破損であると考えて対策を講じていたほか,実際には東側突堤沿いの北寄りの砂浜でも複数の陥没様の異常な状態が生じていたなどの本件事実関係(判文参照)の下では,被告人らは,本件埋没事故現場を含む東側突堤沿いの砂浜において陥没が発生する可能性があることを予見することはでき,本件埋没事故発生の予見可能性があったというべきである。 (反対意見がある。)
人工の砂浜の管理等の業務に従事していた者につき砂浜での埋没事故発生の予見可能性が認められた事例
刑法(平成18年法律第36号による改正前のもの)211条1項前段
判旨
道路管理者が道路の安全性(瑕疵)について、事故発生の具体的予見可能性がないとして国家賠償法2条1項の責任を否定した事例。
問題の所在(論点)
国家賠償法2条1項の瑕疵の有無を判断するにあたり、道路管理者が当該樹木の倒壊を具体的に予見することが可能であったといえるか。
規範
国家賠償法2条1項の「営造物の設置又は管理の瑕疵」とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態をいう。管理者に過失があることは要件ではないが、当該瑕疵によって損害が発生することを具体的に予見し、かつ回避するための措置を講ずることが可能であったか(予見可能性・回避可能性)は、客観的な安全性の有無を判断する重要な要素となる。
重要事実
事件番号: 昭和46(あ)1878 / 裁判年月日: 昭和47年4月21日 / 結論: 棄却
一 第一審判決判示第一の事実につき、被告人の過失と被害者の致死の結果との間に因果関係を認めた原判決の判断は、その認定の事実関係のもとにおいては、正当である。 二 (原判示の要旨)被告人は深夜普通乗用自動車を運転して原判示道路を時速約四〇キロメートルで進行中、対向車の前照灯に眩惑されたにもかかわらず減速、徐行の措置をとら…
本件は、道路脇ののり面内に成長していた樹木(高さ約15m、重量約1.2t)が、その自重により根元から倒壊し、走行中の車両を直撃して運転者が死亡した事故である。当該樹木は、外見上は健全に成長しているように見えたが、内部で腐朽が進行していた。事故現場周辺では、過去に小規模な土砂崩れ等はあったものの、同様の樹木倒壊が発生した事実はなかった。道路管理者は定期的なパトロールを実施し、のり面の目視点検を行っていたが、樹木内部の腐朽までは把握していなかった。
あてはめ
まず、本件樹木は外見上異常がなく、通常の目視点検(パトロール)においてその危険性を察知することは困難であったといえる。次に、現場周辺で過去に同様の樹木倒壊が繰り返されていた事実は認められず、のり面の形状や地質から直ちに樹木が倒壊することを推認させる事情も乏しい。そうすると、道路管理者が本件樹木の倒壊という具体的な危険を予見することは困難であったと評価される。管理者に期待される通常の管理水準に照らせば、樹木一本ごとの内部腐朽までをも常時把握し、未然に伐採等の措置を講ずる義務を課すことは、回避可能性の観点からみて酷に失する。
結論
本件道路の当該箇所が通常有すべき安全性を欠いていたとはいえず、国家賠償法2条1項の瑕疵は認められない。
実務上の射程
道路上の倒木事故における道路管理者の責任に関し、外見上の異常がない場合の具体的予見可能性の肯否を判断する際の指標となる。
事件番号: 昭和46(あ)1772 / 裁判年月日: 昭和46年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、業務上過失致死傷罪における予見可能性の有無をめぐる上告審判決であり、原判決が予見可能性の判断を欠いていないことを理由に、条件的因果関係のみで責任を認めたとする弁護人の主張を退け、上告を棄却した。 第1 事案の概要:被告人が業務上過失致死傷罪に問われた事案において、弁護人は「原判決が予見可能…
事件番号: 昭和42(あ)710 / 裁判年月日: 昭和42年10月24日 / 結論: 棄却
自動車を運転していた甲が、自転車で通行中の乙と衝突し、これを自車の屋根の上にはね上げたまま走行中、これに気づいた同乗者丙が、乙の身体をさかさまに引きずり降ろし、舗装道路上に転落させた場合において、乙が右自動車との衝突および右道路免への転落によつて頭部等に傷害を負い、右頭部の打撲に基づく脳くも膜下出血等によつて死亡したと…