公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定は,平成19年7月29日施行の参議院議員通常選挙当時,憲法14条1項に違反していたものということはできない。 (補足意見及び反対意見がある。)
公職選挙法14条,別表第3の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の合憲性
憲法14条1項,公職選挙法14条,公職選挙法別表第3
判旨
参議院議員選挙の定数配分規定において、最大較差約4.86倍という不平等状態は投票価値の平等の観点から大きな問題があるものの、国会による是正努力や抜本的改革に要する合理的期間を考慮すれば、裁量権の限界を超えたものとはいえず合憲である。
問題の所在(論点)
公職選挙法の参議院議員定数配分規定が、投票価値の不平等を理由として憲法14条1項等に違反し、本件選挙が無効となるか。
規範
投票価値の平等は選挙制度の仕組みを決定する唯一絶対の基準ではなく、参議院の独自性や都道府県の意義等の政策的目的との関連で調和的に実現されるべきである。人口変動により著しい不平等が生じ、かつそれが相当期間継続しているにもかかわらず是正措置を講じないことが、国会の裁量権の限界を超えると判断される場合にのみ違憲となる。
重要事実
平成19年施行の参議院議員通常選挙において、選挙区間の議員1人あたりの選挙人数の最大較差は1対4.86であった。国会は平成16年の大法廷判決を受け、当面の是正策として「4増4減」の改正(本件改正)を行い較差を縮小させたが、現行の都道府県単位・偶数配分制を維持する限り、抜本的な較差是正には至っていなかった。
あてはめ
本件改正により最大較差は前回選挙の5.13倍から4.86倍に縮小しており、国会において不断の検討が行われている。最大較差4.86倍はなお大きな不平等が存する状態ではあるが、現行制度の仕組み自体を抜本的に見直すには、二院制の在り方を含めた高度に政治的な判断と相応の時間が必要である。したがって、本件選挙までにさらなる改正を行わなかったことが直ちに国会の裁量権の限界を超えたとは認められない。
結論
本件定数配分規定は憲法に違反するに至っていたとはいえず、本件選挙は有効である。
実務上の射程
参議院選挙における「著しい不平等状態」と「是正に要する合理的期間」の判断枠組みを維持しつつ、現行制度の限界を指摘した判例。答案では、最大較差が5倍程度であれば、国会に改正の動きがある限り裁量権の範囲内とされやすい傾向を示す基準として用いる。
事件番号: 平成6(行ツ)59 / 裁判年月日: 平成8年9月11日 / 結論: 破棄自判
公職選挙法(平成六年法律第二号による改正前のもの)一四条、別表第二の参議院(選挙区選出)議員の議員定数配分規定の下で、平成四年七月二六日の参議院議員選挙当時、選挙区間における議員一人当たりの選挙人数の較差は最大一対六・五九に達しており、違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたものといわざるを得ない…