法人税の確定申告において,法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)68条1項に基づき配当等に係る所得税額を控除するに当たり,法人税法施行令(平成18年政令第125号による改正前のもの)140条の2第3項所定の方法(いわゆる銘柄別簡便法)による計算を誤ったために控除を受けるべき金額を過少に記載したとしてされた更正の請求は,次の(1),(2)などの判示の事実関係の下では,所得税額控除制度の適用を受ける範囲を追加的に拡張する趣旨のものではなく,法人税法68条3項の趣旨に反するということはできず,国税通則法23条1項1号所定の要件を満たす。 (1) 当該法人は,確定申告書に添付した所得税額の控除に関する明細書中に,その所有する株式の全銘柄を記載し,配当等として受け取った収入金額及びこれに対して課された所得税額を各銘柄別にすべて記載した。 (2) 確定申告書に控除を受ける所得税額を過少に記載したのは,所有株式数につき,配当等の計算の基礎となった期間の期末及び期首の各時点におけるものを記載すべきところ,確定申告に係る事業年度の期末及び期首の各時点におけるものを記載したことに起因するものであった。
法人税の確定申告において,法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)68条1項に基づき配当等に係る所得税額を控除するに当たり,計算を誤ったために控除を受けるべき金額を過少に記載したとしてされた更正の請求が,法人税法68条3項の趣旨に反するということはできず,国税通則法23条1項1号所定の要件を満たすとされた事例
国税通則法23条1項1号,法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)68条1項,法人税法68条3項,法人税法施行令(平成18年政令第125号による改正前のもの)140条の2第1項1号,法人税法施行令(平成18年政令第125号による改正前のもの)140条の2第3項
判旨
外国法人から受ける配当等について外国法人税を課された場合において、法人税法(平成14年法律第79号による改正前)上の外国税額控除を適用せずに確定申告がなされたとしても、それが単なる計算誤りや制度の不理解等に起因するものであり、納税者が控除制度の適用を受ける意思を有していたことが客観的に明らかな場合には、税務署長は更正において同制度を適用すべき義務を負う。
問題の所在(論点)
確定申告において外国税額控除(法人税法69条1項)の一部適用を失念していた場合、税務署長が国税通則法24条に基づき更正をするにあたって、当該失念分を含めた控除制度を適用して税額を算定すべき義務を負うか。また、その適用の可否は「更正の請求(通則法23条)」の手続きによらなければならないか。
規範
事件番号: 平成18(行ヒ)295 / 裁判年月日: 平成19年7月6日 / 結論: その他
納税者が平成12年分の所得税の確定申告において勤務先の日本法人の親会社である外国法人から付与されたストックオプションの権利行使益を一時所得として申告したところ,同権利行使益が給与所得に当たるとして増額更正がされた場合において,次の(1)〜(3)などの判示の事情の下では,納税者が同権利行使益を一時所得として申告し,同権利…
法人税法における外国税額控除制度の趣旨は、同一の所得に対する国際的な二重課税を排除することにある。確定申告書において当該控除の計算が一部欠落していたとしても、申告書の記載全体から見て、納税者が当該制度の適用を受ける意思を有していることが客観的に明らかであり、かつ、計算の誤りが基礎となる事実の誤認や過失等によるものである場合には、税務署長は職権による更正(国税通則法24条)に際し、適正な税額を算出するために同制度を適用して税額を算出すべきである。
重要事実
納税者(原告)は、外国法人から配当を受ける際、外国法人税を課された。確定申告において、原告は外国税額控除を適用して申告したが、一部の配当分について控除額の計算から漏れた状態で申告した。その後、税務署長は別の事由に基づき法人税の増額更正処分を行ったが、その際、原告が申告時に漏らしていた上記外国税額控除分を反映させずに税額を算定した。原告は、更正処分において本来適用されるべき控除が認められなかったことは違法であるとして、処分の取り消しを求めた。
あてはめ
本件において、原告が提出した確定申告書等の記載によれば、一部に計算の漏れはあるものの、外国法人税の課税事実や、これについて外国税額控除制度を適用しようとする意思自体は明示されていたといえる。このような場合、控除の対象となるべき金額が一部記載されていなかったとしても、それは単なる計算過程の過誤にすぎず、納税者が控除の適用を放棄したとは解されない。また、更正の請求手続を経ていないことをもって直ちに控除を否定することは、二重課税排除という制度趣旨に反し、適正妥当な税額を確定すべき更正処分の性質にももとる。したがって、税務署長が更正を行う際には、これら客観的に明らかな控除額を反映させるべきであったといえる。
結論
税務署長が外国税額控除を適用せずに算出した更正処分は、その限度において違法であり、控除後の正当な税額を超える部分は取り消されるべきである。
実務上の射程
本判決は、納税者が申告時に「選択」が必要な規定において、その適用意思が客観的に明確である場合には、更正手続においても当局がその趣旨を汲み取って適正な税額計算を行うべきであることを示した。もっとも、適用意思が全く示されていない場合や、あえて適用しない選択をしたと見られる場合には適用されない点に注意を要する。
事件番号: 平成16(行ヒ)326 / 裁判年月日: 平成18年2月23日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…
事件番号: 昭和41(行ツ)109 / 裁判年月日: 昭和42年9月8日 / 結論: 棄却
行政処分は、法令に別段の規定がある場合のほか、その理由附記を欠く故をもつて違法となるものではない。
事件番号: 平成11(行ヒ)169 / 裁判年月日: 平成16年7月20日 / 結論: 破棄自判
法人税法(平成15年法律第8号による改正前のもの)2条10号に規定する同族会社に当たる有限会社の代表者で出資持分の大半を有する社員が,同会社に対して3455億円を超える金員を無利息,無期限,無担保で貸し付けたことに所得税法(平成13年法律第6号による改正前のもの)157条の規定を適用され,利息相当分の雑所得があるとして…
事件番号: 平成15(行ヒ)215 / 裁判年月日: 平成17年12月19日 / 結論: 破棄自判
我が国の銀行が,本来は外国法人が負担すべき外国法人税(外国の法令により課される法人税に相当する税)について対価を得て引き受ける取引を行い,同取引に基づいて同銀行が負担した外国法人税が上記対価を上回るため,同取引自体によっては損失を生ずるが,上記外国法人税の負担を自己の外国税額控除の余裕枠を利用して国内で納付すべき法人税…