1 パチスロ店内で,パチスロ機に針金を差し込んで誤動作させるなどの方法によりメダルを窃取した者の共同正犯である者が,上記犯行を隠ぺいする目的をもって,その隣のパチスロ機において,自ら通常の方法により遊戯していた場合,この通常の遊戯方法により取得したメダルについては,窃盗罪は成立しない。 2 パチスロ機の下皿内に窃取したメダル72枚が入っており,ドル箱内に窃取したものと窃取したとはいえないものとが混在したメダル414枚が入っているとの本件事実関係の下においては,窃盗罪が成立する範囲は,下皿内のメダル72枚のほか,ドル箱内のメダル414枚の一部にとどまる。
1 パチスロ店内で,パチスロ機から不正な方法によりメダルを窃取した者の共同正犯である者が,上記犯行を隠ぺいする目的をもって,その隣のパチスロ機において,自ら通常の方法により遊戯していた場合,この通常の遊戯方法により取得したメダルについて窃盗罪が成立するか 2 窃取した財物と窃取したとはいえない財物とが混在している場合における窃盗罪の成立範囲について判示した事例
(1,2につき)刑法235条 (1につき)刑法60条
判旨
不法な手段(体感機使用)により得たパチスロ用メダルと、正当な手段により得たメダルが混在し、かつその混合割合が明らかである場合において、正当な手段により得た部分についてのみ没収の対象とすることはできない。
問題の所在(論点)
不法に取得したメダルと、正当な方法で取得したメダルがドル箱内で混在している場合、その全量を「犯罪行為により得た物」として刑法19条1項3号に基づき没収することができるか。正当な取得分が含まれる場合の没収の可否および範囲が問題となる。
規範
刑法19条1項に基づく没収は、犯罪行為により生じ、もしくはこれによって得た物等について認められる。もっとも、不法に得た物と正当な手段により得た物が物理的に混在し、かつ客観的にその割合が区分できる場合であっても、その混合物全体が一個の財産的価値として扱われるべき性質(代替性のある動産の混合等)を有する場合、正当に取得した部分を含めて没収することは、不当に被告人の財産権を侵害することとなり許されない。したがって、正当な取得分が特定・分離可能であるならば、没収の対象は不法取得分に限定されるべきである。
事件番号: 平成18(あ)1605 / 裁判年月日: 平成19年4月13日 / 結論: 棄却
1 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器(判文参照)を使用する意図のもとにこれを身体に装着してパチスロ機で遊戯する行為は,同機器がパチスロ機に直接には不正の工作ないし影響を与えないものであっても,窃盗罪の実行行為に当たる。 2 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器(判文参照)を使用す…
重要事実
被告人は、いわゆる体感機を用いた不正な方法(本件詐欺)によりパチスロ機からメダルを取得した。被告人が所持していたドル箱内のメダル合計816個のうち、504個は本件詐欺により取得したものであったが、残りの312個については、それ以前に別のパチスロ機で「通常の方法」により取得したものであった。原審は、これら合計816個のメダルにつき、本件詐欺の「犯罪行為により得た物」としてその全額を没収した。
あてはめ
本件において、ドル箱内のメダル816個のうち、本件詐欺行為によって得られたのは504個に限定される。残りの312個は「通常の法律的方法」により得られたものであり、遊技場側もその取得を容認している。この312個については、本件詐欺行為によって得られたものとはいえず、刑法19条1項3号にいう「犯罪行為により得た物」には該当しない。不法取得分と正当取得分の数量がそれぞれ判明している以上、正当な取得分までもが犯罪に関連して得られたものとみなすことは論理的に困難である。
結論
正当な方法で得たメダル312個については、刑法19条1項3号を適用して没収することはできない。したがって、全量を没収した原判決は同条の解釈を誤った違法がある。
実務上の射程
判決文からは不明(ただし、本判決は代替性のある物の混合における没収の限界を示したものであり、数量的な分離が可能であれば正当な財産権を保護すべきという判断を示している)。
事件番号: 昭和26(あ)4589 / 裁判年月日: 昭和28年3月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】数日の間隔を置いて種類を異にする複数の物件を窃取した行為について、犯意の単一性が認められない場合には、包括一罪ではなく、併合罪として処理される。 第1 事案の概要:被告人が、1日ないし数日の時間的間隔を置いて、銅線、バピット(軸受合金)、砲金屑といった種類の異なる複数の物件を窃取した事案。弁護人は…