防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった者が,在職中に私企業の幹部から請託を受けて職務上不正な行為をし,その後間もなく防衛庁を退職して上記私企業の関連会社の非常勤の顧問となり顧問料として金員の供与を受けたなどの本件事実関係の下においては,顧問としての実態が全くなかったとはいえないとしても,供与を受けた金員は不正な行為と対価関係があり,事後収賄罪が成立する。
防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった者が,退職後に私企業の非常勤顧問となり顧問料として金員の供与を受けたことについて,事後収賄罪が成立するとされた事例
刑法197条の3第3項
判旨
公務員が在職中に請託を受けて職務上不正な行為をした後、退職後に再就職先から受領した金員について、再就職先での勤務実態が全くなかったといえない場合であっても、当該不正行為との間に対価関係が認められるときは、事後収賄罪(刑法197条の3第3項)が成立する。
問題の所在(論点)
公務員が在職中に請託を受けて不正な行為をした後、退職後に「顧問料」等の名目で受領した金員について、再就職先での勤務実態がある場合に、事後収賄罪(刑法197条の3第3項)における賄賂性が認められるか。
規範
事後収賄罪における「賄賂」とは、公務員が行った職務上の不正行為等の対価としての不法な利益をいう。名目が報酬等の正当な対価を装うものであっても、当該不正行為との間に対価関係(紐付け)が認められる限り、賄賂性を有する。職務実態が皆無でない場合でも、その支給の経緯、条件の異例性、不正行為の具体的な内容等を総合考慮し、実質的に不正行為の報酬と認められるときは、その全額について賄賂性が肯定される。
重要事実
防衛庁技官(副本部長等)であった被告人は、在職中にA社関係者から、関連会社の過払い金返還額を過少にするよう請託を受け、任務に背いて国に巨額の損害を与える不正な処理を行った。被告人は退職後、A社が支配するG社の非常勤顧問に就任し、月2回程度の出社と会議出席を行っていたが、G社は設立直後で収益がなく他の役員には無報酬であった。被告人への報酬支給は、A社側が上記不正処理の謝礼や今後の事後処理の期待から、被告人の希望に応じて異例の条件で決定したものであった。
あてはめ
被告人の在職中の行為は背任罪を構成する職務上不正な行為である。G社での顧問としての勤務実態(月2回の出社等)は全くなかったとはいえないが、G社の経営状況からして報酬支給は異例であった。支給の決定は、不正処理で「世話になった」という趣旨や事後処理の必要性からなされたものであり、被告人の希望に応じた便宜供与の側面が強い。したがって、当該顧問料は顧問としての職務の対価というより、在職中の不正行為に対する対価としての性質を有すると評価できる。
結論
被告人に顧問としての実態が全くなかったといえないとしても、不正な行為との間に対価関係があるというべきであるから、事後収賄罪が成立する。
実務上の射程
再就職先での「実態」を隠れ蓑にした賄賂の授受を厳格に処罰する射程を持つ。答案上は、職務密接関連性や対価関係を論じる際、名目や一部の実態に惑わされず、提供の経緯や条件の異常性といった客観的事実から実質的な対価性を認定する手法として活用できる。
事件番号: 昭和41(あ)530 / 裁判年月日: 昭和41年10月6日 / 結論: 棄却
ある町において、町長が、予算額五〇万円以上の土木建設事業を施行するにあたり、その円満な遂行を期するため、町議会議長のほか分掌事項上関係ある議員として町議会建設委員会の建設常任委員等をもつて建設委員協議会を設け、工事の計画、設計、指名入札人の選定、敷札金額の決定等について意見を述べる慣例が存する場合において、町議会議長又…