1 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項1号にいう「犯罪行為により得た財産」とは,当該犯罪行為によって取得した財産であればよく,その実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産であっても後に当該犯罪が成立する限り犯罪収益に該当し,その取得につき事実を仮装すれば,同法10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」が成立する。 2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示に当たっては,犯罪行為によって得た財産が同法所定の犯罪収益であることを示せば足り,第1審判決(判文参照)は,同罪の罪となるべき事実の摘示において欠けるところはない。 3 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供する場合,当該提供行為によって提供者が注文者から取得したと認められる金員の全額が「犯罪行為により得た財産」として組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律所定の犯罪収益に該当し,提供者が児童ポルノを提供するに際して同金員の一部を送料として支出したとしても,同法による追徴に当たり,その分を控除して追徴金額を算定すべきではない。
1 犯罪行為の実行に着手する前に取得した前払い代金等の財産の取得につき事実を仮装した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の成否 2 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段の「犯罪収益等の取得につき事実を仮装した罪」の罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないとされた事例 3 注文に応じて有償で児童ポルノを送付して提供するに際し,提供者が注文者から取得した金員の一部を送料として支出した場合と,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律による追徴金額の算定方法
(1〜3につき) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律2条2項,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律10条1項前段 (2につき) 刑訴法335条1項 (3につき) 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律13条1項,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律16条1項本文,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項前段
判旨
関税法第118条1項にいう「犯罪に関係のある貨物(禁制品)」の没収に代わる追徴は、当該貨物の適法な取得や所有権の有無にかかわらず、その取得事態が構成要件に該当する以上成立する。
問題の所在(論点)
禁制品の輸入・取得に関し、その貨物の取得が法的に無効である、または適法な所有権を取得し得ない場合であっても、関税法118条1項に基づく追徴を科すことができるか。
事件番号: 平成18(あ)1249 / 裁判年月日: 平成20年3月4日 / 結論: 棄却
児童ポルノを日本国内で運営されているインターネット・オークションに出品して不特定の者から入札を募り,外国から日本に居る落札者にあてて児童ポルノを郵便に付して送付した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条6項,4項所定の児童ポルノを不特定の者に提供する目的で外国から輸出したものといえ…
規範
関税法118条1項の追徴制度は、本来没収すべき貨物の没収が不能となった場合に、その価格を徴収することで没収の目的(不正利益の剥奪や犯行の抑止)を代替するものである。その性質上、対象となる貨物が禁制品であるか否か、あるいは犯人が当該貨物を適法に取得したか、その所有権を有していたかといった法的属性を問わない。犯罪構成要件に該当する貨物の取得事実が認められ、かつ現物の没収が不能であれば、同条に基づき追徴を科すことが認められる。
重要事実
被告人は、児童ポルノ等を含む禁制品(輸入禁制品)を輸入・取得したとして、関税法違反等の罪に問われた。原判決(一審・二審)は、被告人が特定多数の者から禁制品を順次取得した事実を認定した。しかし、これらの貨物は既に被告人の手元になく現物の没収が不可能であったため、裁判所は被告人からその価格相当額を追徴することを決定した。これに対し、被告人側は、禁制品の取得は公序良俗に反し法的に保護されないことや、取得プロセスの違法性を理由に、追徴の成立を否定すべきであると主張して上告した。
あてはめ
関税法118条1項の解釈として、同条は「犯罪に関係のある貨物」の没収不能時の代替措置を定めたものであり、その文理および立法趣旨(1条参照)に照らせば、貨物の私法上の所有権の帰属や取得の適法性は要件とされていないといえる。本件において、被告人が児童ポルノ等の禁制品を取得した事実は認定されており、当該貨物が本件犯罪に関連するものであることは明白である。また、被告人の手元に現物が存在せず没収不能である以上、法の規定に従いその価格を追徴すべき状況にある。したがって、取得の法的有効性を問わず追徴を認めた原判断に、理由不備や法解釈の誤りはないと解される。
結論
禁制品の取得が法的に無効であっても、関税法上の犯罪に関係する貨物の取得が認められる以上、没収不能による追徴を科すことは適法である。
実務上の射程
関税法118条1項の「没収」および「追徴」の要件判断において、対象物の私法上の性質(禁制品か否か、所有権の有無)が結論を左右しないことを明示した判断であり、実務上、禁制品の密輸・密売事件における没収・追徴の適用範囲を広く認める基準となる。
事件番号: 平成20(あ)1703 / 裁判年月日: 平成21年7月7日 / 結論: 棄却
1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。 2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定…
事件番号: 平成12(あ)1769 / 裁判年月日: 平成14年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項各号に規定される「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件は、一般人の通常人が具体的場合に判断可能な基準であり、明確性の原則(憲法31条)等に反しない。 第1 事案の概要:被告人は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁…
事件番号: 平成17(あ)1342 / 裁判年月日: 平成18年2月20日 / 結論: 棄却
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる。