Xが,都市公園法に違反して,都市公園内に不法に設置されたキャンプ用テントを起居の場所とし,公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいるなど原判示の事実関係の下においては,Xは,上記テントの所在地に住所を有するものとはいえない。
都市公園内に不法に設置されたテントを起居の場所としている者につき,同テントの所在地に住所を有するものとはいえないとされた事例
住民基本台帳法4条,住民基本台帳法23条,地方自治法10条1項,民法22条,都市公園法6条1項
判旨
都市公園内に不法に設置されたテントを起居の場所とし、公園施設を利用して日常生活を営んでいる場合、当該所在地は生活の本拠としての実体を具備しているとは認められず、住民基本台帳法上の住所に当たらない。
問題の所在(論点)
都市公園内に不法に設置された占有権限のないテント所在地が、住民基本台帳法上の「住所」(生活の本拠)として認められるか。
規範
住民基本台帳法上の「住所」とは、生活の本拠をいい、そこが生活の本拠にあたるか否かは、滞在の目的、期間、居住の態様等を総合的に考慮し、客観的に生活の本拠としての実体を具備しているか否かによって判断すべきである。
重要事実
上告人は、都市公園法に違反して都市公園内に不法にキャンプ用テントを設置し、そこを起居の場所としていた。また、公園施設である水道設備等を利用して日常生活を営んでいたが、市町村長に対して当該テント所在地を住所とする転入届を提出したところ、不受理処分を受けた。
事件番号: 平成14(行ヒ)189 / 裁判年月日: 平成15年6月26日 / 結論: 棄却
市町村長は,住民基本台帳法の適用が除外される者以外の者から同法の規定による転入届があった場合に,その者に新たに当該市町村の区域内に住所を定めた事実があれば,法定の届出事項に係る事由以外の事由を理由として転入届を受理しないことはできず,住民票を作成しなければならない。
あてはめ
上告人はテントを起居の場所としているが、これは都市公園法に違反して不法に設置されたものである。また、公園内の水道設備等という公共施設を転用して生活を営んでいるに過ぎない。このような不法占拠の状態は、社会通念上、当該所在地が客観的に生活の本拠としての実体を具備しているものと見ることはできない。
結論
本件テントの所在地は「住所」には該当せず、転入届を不受理とした処分は適法である。
実務上の射程
違法な占有状態にある場所については、特段の事情がない限り住民票上の住所として認められないことを示した。公法上の権利享受の基礎となる「住所」の認定において、占有の適法性や客観的な定着性が重視される実務上の指針となる。
事件番号: 平成20(行ヒ)35 / 裁判年月日: 平成21年4月17日 / 結論: その他
1 出生した子につき住民票の記載を求める親からの申出に対し特別区の区長がした上記記載をしない旨の応答は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。 2 母がその戸籍に入る子につき適法な出生届を提出していない場合において,特別区の区長が住民である当該子につき上記母の世帯に属する者として住民票の記載をしていないことは,(1…
事件番号: 平成7(行ツ)116 / 裁判年月日: 平成11年1月21日 / 結論: 棄却
一 市町村長が住民票に世帯主との続柄を記載する行為は、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。 二 市長が住民票に非嫡出子の世帯主との続柄を「子」と記載した行為は、住民基本台帳の記載方法等に関して国が定めた右行為当時の住民基本台帳事務処理要領に、世帯主の嫡出子の続柄は「長男」、「二女」等と、非嫡出子のそれは「子」と記…
事件番号: 平成20(行ヒ)247 / 裁判年月日: 平成21年10月15日 / 結論: その他
1 自転車競技法(平成19年法律第82号による改正前のもの)4条2項に基づく設置許可がされた場外車券発売施設の周辺において居住し又は事業(文教施設又は医療施設に係る事業を除く。)を営む者や,周辺に所在する文教施設又は医療施設の利用者は,自転車競技法施行規則(平成18年経済産業省令第126号による改正前のもの)15条1項…
事件番号: 昭和23(オ)97 / 裁判年月日: 昭和24年4月28日 / 結論: 破棄差戻
都市に居住していた者が、空襲の激化に伴い徒歩及び汽車約一時間の地域に疎開転出し、終戦後再びその都市を職業生活の中心と定め、寝食の器具を移し、その都市に起居するに至つた場合は同市に転入手続をせず、配給物資を受けず、疎開先の選挙人名簿に登載され、家族は疎開先に居住していても、特別の事情がない限り、その時に住所を同市に移した…