Xの友人であるAが,深夜,Xが運転するXの父親であるB所有の自動車に同乗してバーに赴き,Xと共に飲酒をした後,バーのカウンター上に置かれていたキーを使用し,泥酔して寝込んでいるXを同自動車に乗せた上,これを運転して追突事故を起こし,Xが傷害を負った場合において,(1)バーに赴いた際のXによる同自動車の運行は,Bの容認するところであり,その運行の後,飲酒したXが友人等に同自動車の運転をゆだねることも,Bの容認の範囲内にあったと見られること,(2)Aが帰宅するなどのために上記キーを使用して同自動車を運転することについて,Xの容認があったといえることなど判示の事情の下では,BがAと面識を有していなかったとしても,Aによる同自動車の運行はBの容認の範囲内にあったと見られてもやむを得ず,Bは,同運行について,自賠法3条にいう運行供用者に当たる。
Xの友人Aが,Xの運転するXの父親B所有の自動車に同乗してバーに赴き,Xと飲酒をした後,寝込んでいるXを乗せて同自動車を運転し,追突事故を起こした場合において,Bが自賠法3条にいう運行供用者に当たるとされた事例
(自賠法)自動車損害賠償保障法3条
判旨
自動車の所有者が、第三者の運転による事故につき運行供用者責任を負うか否かは、所有者の直接の容認がなくても、その運行が客観的外形的に見て所有者の容認の範囲内にあると認められるかによって判断すべきである。泥酔した子が第三者に運転を委ねざるを得ない状況を作出した場合、所有者である親の運行支配は及んでいると解される。
問題の所在(論点)
車両所有者と面識のない第三者が、所有者の子から預かった鍵を用いて運転し事故を起こした場合、当該所有者は同法3条の運行供用者として損害賠償責任を負うか(運行支配の有無)。
規範
自動車損害賠償保障法3条の「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)に該当するかは、当該自動車の運行を客観的外形的に見て、その運行が所有者等の容認の範囲内にあったと認められるか否かによって判断すべきである。具体的には、車両の管理状況、運転者との関係、運行の目的及び経緯等の諸事情を総合考慮し、実質的な支配及び利益の帰属が認められるかにより決定する。
重要事実
車両所有者Bの娘である上告人Aは、Bから仕事等のために本件自動車を運転することを認められていた。Aは深夜に友人Cを迎えに行き、名古屋市内のバーで共に飲酒したが、Aは泥酔して寝込んだ。免許を持たないCは、帰宅等のためにカウンターにあった鍵を用いてAを助手席に乗せて運転し、本件事故を起こした。BはCと面識がなく、その存在すら認識していなかったが、原審はBの運行支配を否定したため、Aが上告した。
あてはめ
まず、Bから運転を認められていたAによるバーまでの運行はBの容認範囲内である。次に、電車等の公共交通機関がない時間帯に、Aが鍵を露出した状態で泥酔したことは、同行のC等が運転することを容認していたに等しい。そうすると、Aを介して行われたCの本件運行も、Bの容認の範囲内にあったとみられてもやむを得ないといえる。したがって、Bは客観的外形的に見て本件運行について支配を及ぼしており、運行供用者に該当すると解される。
結論
Bは本件運行について運行供用者に当たり、損害賠償責任を負担する。原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
間接的な運行支配が問題となる事案での規範として重要である。所有者が直接運転者を認識していなくとも、当初の利用許諾者(本件では子)の管理態様を通じて、第三者の運転が「客観的外形的に見て容認の範囲内」といえる場合には、運行支配を肯定する判断枠組みを示している。答案では、鍵の管理状況や当時の状況(公共交通機関の有無等)から、第三者が運転することの蓋然性を論じる際の指標となる。
事件番号: 昭和46(オ)447 / 裁判年月日: 昭和50年5月29日 / 結論: 棄却
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