1 出来高に関し他人に誤解を生じさせる目的は,価格操作ないし相場操縦の目的を伴わない場合でも,証券取引法(平成12年法律第96号による改正前のもの)159条1項柱書きにいう「取引が繁盛に行われていると誤解させる等これらの取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的」に当たる。 2 いわゆる自己両建ての有価証券オプション取引(判文参照)は,証券取引法(平成12年法律第96号による改正前のもの)159条1項3号にいう「オプションの付与又は取得を目的としない仮装の有価証券オプション取引」に当たる。
1 出来高に関し他人に誤解を生じさせる目的は,価格操作ないし相場操縦の目的を伴わない場合でも,証券取引法(平成12年法律第96号による改正前のもの)159条1項柱書きにいう「取引が繁盛に行われていると誤解させる等これらの取引の状況に関し他人に誤解を生じさせる目的」に当たるか 2 いわゆる自己両建ての有価証券オプション取引(判文参照)は,証券取引法(平成12年法律第96号による改正前のもの)159条1項3号にいう「オプションの付与又は取得を目的としない仮装の有価証券オプション取引」に当たるか
(1,2につき)証券取引法(平成12年法律第96号による改正前のもの)159条1項3号,証券取引法(平成12年法律第96号による改正前のもの)197条1項5号 (1につき)証券取引法(平成12年法律第96号による改正前のもの)159条1項8号
判旨
旧証券取引法159条2項1号にいう「相場を変動させる目的」とは、有価証券の相場を自己の意図する方向に変動、固定または維持させることをいい、必ずしも特定の価格に到達させる意図や不当な利益を得る目的までを必要とするものではない。
問題の所在(論点)
旧証券取引法159条2項1号にいう「相場を変動させる目的」の意義、および同号の「一連の有価証券売買等」にオプション取引が含まれるか否かが問題となる。
規範
旧証券取引法159条2項1号(現行金融商品取引法159条2項1号)の「相場を変動させる目的」とは、有価証券の相場を、自然の需給関係に基づき形成されるべき価格にゆだねることなく、人為的にこれを自己の意図する方向に変動させ、あるいは一定の価格に固定し、若しくは維持させようとする意図をいう。また、同号にいう「一連の有価証券売買等」には、それ自体としては相場を変動させる可能性があるとはいえないオプションの付与または取得も含まれる。
事件番号: 平成19(あ)1462 / 裁判年月日: 平成22年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】業務上の任務に背き、他者の利益を図り本人に損害を与える目的(図利加害目的)をもって、実態のない形式的な取引を行い、会社資金を流出させた行為は、背任罪(刑法247条)を構成する。本件では、融資の形式を採りつつも、返済の意思や能力がない相手方に対し、十分な担保を確保せずに多額の資金を交付した行為につい…
重要事実
被告人らは、特定の会社の株価を維持・上昇させるため、当該株式のオプションを付与または取得する取引、およびそれに関連する現物株式の売買を繰り返した。これらの一連の取引は、自然な需給に基づかない価格形成を目的として行われた。弁護人は、オプション取引は権利行使の有無が不確定であり、それ自体では相場を変動させる性質を有しないため「一連の有価証券売買等」に含まれないと主張した。
あてはめ
本件における被告人らの行為は、特定の株式の相場を自己の意図する方向に誘導・維持しようとするものであり、「相場を変動させる目的」が認められる。また、オプション取引は、権利行使を通じて現物取引を発生させ、あるいはヘッジ取引を誘発することで市場価格に影響を及ぼし得る性質を有している。したがって、オプションの付与・取得を、相場を変動させる一連の工作の中に組み込むことは、同号の「一連の有価証券売買等」に該当すると評価される。
結論
被告人らの行為は旧証券取引法159条2項1号の操縦運用の禁止に違反し、相場を変動させる目的をもって一連の有価証券売買等をしたものと認められる。
実務上の射程
相場操縦の目的について、主観的な「不当な利得を得る意図」までは不要であることを明確にした。実務上、現物取引とデリバティブ取引を組み合わせた複雑な手法であっても、全体として市場の自然な価格形成を歪める意図があれば本罪が成立することを示す射程を持つ。
事件番号: 平成13(あ)12 / 裁判年月日: 平成15年12月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧証券取引法166条1項4号(現行金融商品取引法166条1項4号)にいう「当該契約の履行に関し」とは、契約を締結したことで重要事実を知り得る立場に立った者が、その契約に予定された義務の履行や権利の行使、またはこれに密接に関連する交渉等の過程で重要事実を知ることを指し、当該契約自体が重要事実を前提と…
事件番号: 昭和63(あ)1102 / 裁判年月日: 平成6年7月20日 / 結論: 棄却
一 証券取引法(昭和六三年法律第七五号による改正前のもの)一二五条二項一号後段は、有価証券の相場を変動させるべき一連の売買取引等のすべてを違法とするものではなく、人為的な操作を加えて相場を変動させるにもかかわらず、投資者にその相場が自然の需給関係により形成されるものであると誤認させて有価証券市場における有価証券の売買取…
事件番号: 平成9(あ)1232 / 裁判年月日: 平成11年2月16日 / 結論: 破棄差戻
新薬発売直後の死亡例を含む重篤な副作用症例の発生は、当該新薬が医薬品の卸販売では高い業績を挙げていたものの製薬業者としての評価が低かった会社において多額の資金を投じ実質上初めて開発し、有力製品として期待していたものである上、同社の株価の高値維持にも寄与していたものであるなどの事情の下では、証券取引法(平成五年法律第四四…
事件番号: 平成21(あ)375 / 裁判年月日: 平成23年6月6日 / 結論: 棄却
証券取引法(平成18年法律第65号による改正前のもの)167条2項にいう「公開買付け等を行うことについての決定」をしたというためには,同項にいう「業務執行を決定する機関」において,公開買付け等の実現を意図して,公開買付け等又はそれに向けた作業等を会社の業務として行う旨の決定がされれば足り,公開買付け等の実現可能性がある…