1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的で現金自動預払機が設置された銀行支店出張所に営業中に立ち入った場合,その立入りの外観が一般の現金自動預払機利用客と異なるものでなくても,建造物侵入罪が成立する。 2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い,適当な操作を繰り返しながら,1時間30分間以上にわたって占拠し続けた行為は,偽計業務妨害罪に当たる。
1 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮する目的でした営業中の銀行支店出張所への立入りと建造物侵入罪の成否 2 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,一般の利用客を装い相当時間にわたって占拠し続けた行為が,偽計業務妨害罪に当たるとされた事例
(1につき)刑法130条前段 (2につき)刑法233条
判旨
ATM利用客の暗証番号等を盗撮する目的で銀行出張所に立ち入る行為は、外観が一般客と異ならなくても建造物侵入罪を構成し、また、盗撮機器の存在を秘匿しつつ客を誘導するため長時間ATMを占拠する行為は、偽計業務妨害罪を構成する。
問題の所在(論点)
1. 盗撮目的を隠して営業中の銀行出張所に立ち入る行為が、建造物侵入罪における「侵入」に該当するか。 2. 盗撮機器の存在を隠し、客を誘導するために長時間ATMを占拠する行為が、偽計業務妨害罪の「偽計」および業務妨害に該当するか。
規範
管理権者が予め立ち入りを認めている場所であっても、その立入りが管理権者の意思に反するものであることが明らかであるならば、立入りの外観が一般の利用客と特に異ならないものであっても、建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立する。また、本来の利用目的を偽り、情を秘して特定の設備を不当に占拠し、本来の業務遂行を困難にさせる行為は、偽計業務妨害罪(刑法233条後段)に当たる。
事件番号: 平成18(あ)1605 / 裁判年月日: 平成19年4月13日 / 結論: 棄却
1 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器(判文参照)を使用する意図のもとにこれを身体に装着してパチスロ機で遊戯する行為は,同機器がパチスロ機に直接には不正の工作ないし影響を与えないものであっても,窃盗罪の実行行為に当たる。 2 専らメダルの不正取得を目的として体感器と称する電子機器(判文参照)を使用す…
重要事実
被告人らは、ATM利用客のキャッシュカードの暗証番号等を盗撮する目的で、行員の常駐しない銀行支店出張所に営業中に立ち入った。被告人らは、1台のATMに盗撮用カメラを設置し、その隣のATMの床に受信機等の入った紙袋を置いた上で、不審に思われないよう、かつ客をカメラ設置済みのATMへ誘導するため、一般客を装い適当な操作を繰り返しながら、約1時間30分ないし1時間50分にわたってATM1台を占拠し続けた。
あてはめ
1. 被告人らの立入りは、ATM利用客の暗証番号等を盗撮する目的で行われたものであり、銀行支店長(管理権者)がそのような目的での立入りを容認していないことは明らかである。したがって、外観が一般客と同様であっても「侵入」にあたる。 2. 被告人らは、受信機等の隠匿と客の誘導という本来のATM利用とは無関係な意図を秘し、一般客を装ってATMを長時間占拠した。この行為は、銀行がATMを本来の顧客利用に供して入出金等の事務を取り扱う業務を妨害するものといえる。
結論
被告人らの行為には、建造物侵入罪および偽計業務妨害罪が成立する。
実務上の射程
管理権者の「推定された意思」に基づき侵入の成否を判断する判例法理を再確認したもの。特に偽計業務妨害については、単なる設備の長時間利用にとどまらず、不法な目的(盗撮)を達成するための手段として、利用客を装う「欺罔的態様」がある場合に業務妨害が認められることを示しており、特殊詐欺の出し子や受け子の予備的行動への擬律においても重要な参照先となる。
事件番号: 昭和59(あ)627 / 裁判年月日: 昭和62年3月12日 / 結論: 棄却
県議会委員会の条例案採決等の事務は、威力業務妨害罪にいう[業務]に当たる。
事件番号: 昭和25(れ)1902 / 裁判年月日: 昭和27年2月22日 / 結論: 棄却
一 生産管理として多数の威力をもつて会社の事業の管理即ち支配を排除した以上、刑法第二三四条の業務妨害が成立する。 二 経営権と労働権との対等を保障している現行の法律秩序からすれば、両者の間に労働協約による特別の定めがないかぎり、企業経営、生産行程の指揮命令は使用者側の権限に属するのであるから、同盟罹業が有効でないからと…