判旨
二次的著作物である漫画の利用に関し、原著作物たる小説の著作者は、漫画の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。したがって、漫画の著作者が漫画のキャラクターを描いた原画を作成・複製・配布するには、原著作者との合意を要する。
問題の所在(論点)
小説を原案とする漫画(二次的著作物)において、漫画家がそのキャラクターを描いた原画等を作成・利用する場合に、原著作者(小説家)の権利が及ぶか。二次的著作物の利用における28条の適用の成否が問題となる。
規範
二次的著作物(著作権法2条1項11号)の利用に関し、原著作物の著作者は、当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する(同法28条)。この場合、原著作者の権利と二次的著作物の著作者の権利は併存するため、二次的著作物の著作者の権利であっても、原著作者との合意によらなければ行使することができない。
重要事実
被上告人(原作者)は、漫画の各回ごとの具体的なストーリーを創作し、小説形式の原稿を作成した。上告人(漫画家)は、その原稿におおむね依拠して漫画を作成するという手順を繰り返して本件連載漫画を制作した。その後、上告人は被上告人の承諾を得ることなく、本件漫画の主人公を描いた原画を作成、複製、配布した。
あてはめ
本件連載漫画は、被上告人が作成した具体的なストーリーを有する小説形式の原稿を原著作物として作成された二次的著作物である。法28条によれば、被上告人は本件漫画の利用に関し、漫画家である上告人が有する権利と同一の権利を専有する。そのため、上告人と被上告人の権利は併存し、上告人が本件漫画の主人公を描いた原画を作成・複製・配布する行為は、両者の合意なくしてはなし得ない。
結論
被上告人は、上告人が合意なく本件原画を作成、複製、又は配布することの差止めを請求できる。
実務上の射程
キャラクターそのものは抽象的な概念であり著作物ではないが、具体的表現を伴う二次的著作物(漫画)の利用という形をとる限り、原著作者の権利(28条)が及ぶことを示した。答案上は、著作権法28条の「同一の種類の権利」の意味を論じる際の最有力な根拠として活用する。
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