判旨
商標が特定の文字部分等を含んでいても、その構成態様や取引の実情に照らし、当該部分から特定の称呼を生ずるとは認められない場合には、称呼による類否判断の基礎とはならない。
問題の所在(論点)
商標の一部に文字等が含まれる場合に、当該部分から特定の称呼を生ずると認めることができるか、またその判断が商標法上の類否判断にどのように影響するか。
規範
商標の類否は、外観、称呼、観念を総合的に考慮して判断されるが、特に称呼の有無については、当該商標の構成部分が取引者・需要者に対し、商品の出所識別標識として特定の称呼を想起させる程度に認識されるか否かによって決せられる。
重要事実
上告人は、別紙記載の各商標(特に文字部分を含む商標)について、特定の称呼を生ずることを前提に商標の類否を主張したが、特許庁の審決及び原審(高裁)は、当該商標の構成態様等から特定の称呼を生ずるとは認められないと判断した。
あてはめ
本件商標の構成を検討するに、文字部分が含まれているものの、その表記の態様や全体的なデザイン、取引の実情等に照らせば、需要者が当該文字を特定の音として認識し、出所識別標識としての称呼を抽出するとは認められない。したがって、特定の称呼を前提とした比較判断は妥当ではない。
結論
本件各商標から特定の称呼を生ずるとは認められないとした原審の判断は正当であり、上告を棄却する。
実務上の射程
商標法4条1項11号等の類否判断において、文字が含まれていれば直ちにその称呼が比較対象になるわけではなく、構成態様から称呼の発生自体を否定し得ることを示す。視覚的デザインが強い商標の事案で有用である。
事件番号: 平成3(オ)1805 / 裁判年月日: 平成4年9月22日
【結論(判旨の要点)】商標の類否判断は、外観、称呼、観念を総合的に考察すべきであり、取引の実情を考慮せずに特定の要素のみを重視して判断することは許されない。具体的な取引状況を十分に確定することなく、限定的な需要者層を前提として類似性を否定した原審の判断には、審理不尽または理由不備の違法がある。 第1 事案の概要:上告人…
事件番号: 平成7(オ)637 / 裁判年月日: 平成10年9月10日
【結論(判旨の要点)】著名表示の冒用行為は、商品等の混同が生じるか否かにかかわらず、その著名性による顧客吸引力を不当に利用し、自己の営業の出所を表示するものと認識させるおそれがある限り、不正競争防止法上禁止される。 第1 事案の概要:世界的有名ブランド「CHANEL」の商標・商号を有する原告が、被告による「スナックシャ…
事件番号: 昭和45(行ツ)14 / 裁判年月日: 昭和45年4月16日
【結論(判旨の要点)】商標の類否判断において、商標の構成の一部が取引者、需要者に当該商標の出所識別標識として強く意識される場合には、当該部分を抽出して他人の商標と比較し、類否を判断することが許容される。 第1 事案の概要:本件では、特定の商標(判決文からは具体的な商標の構成は不明)の類否が争点となった。原審は、商標の構…
事件番号: 平成15(行ヒ)265 / 裁判年月日: 平成16年6月8日
【結論(判旨の要点)】商標法4条1項8号の趣旨は、人格的利益の保護にある。そのため、他人の氏名等を含む商標が同号に該当する場合であっても、当該他人がその商標登録を受けることについて承諾を与えている場合には、同号の登録拒絶事由には当たらない。 第1 事案の概要:出願人(上告人)は、シルバーアクセサリーのデザイナーである「…