判旨
特許権侵害訴訟における特許発明の技術的範囲の確定について、出願過程等において特許権者が構成を制限したなどの特段の事情がない限り、明細書等の記載に基づいて客観的に画定されるべきである。
問題の所在(論点)
特許権侵害訴訟において、特許発明の技術的範囲を確定する際、発明者の主観的意図や特定の製造販売形態といった願書等の記載外の事情を考慮して、特許請求の範囲の記載よりも狭く限定解釈することが許されるか。
規範
特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づいて定めなければならず、特段の事情がない限り、発明者が主観的に意図した範囲や特定の実施形態のみに限定されるものではない。ただし、出願過程において公知技術との差別化のために構成を制限した事実や、明細書等からみて技術的意義を否定すべき事情がある場合には、その範囲は制限的に解釈される。
重要事実
特許権者(原告)は、インゴットの取付け位置に関する発明について特許権を有していた。被告が製造販売する装置が、当該特許の技術的範囲に属するかどうかが争点となった。原審は、発明者が当初想定していた対象や特定の構成に限定して解釈し、被告製品はその範囲に含まれないと判断したため、特許権者が上告した。
あてはめ
特許請求の範囲に記載された発明の構成は、客観的に解釈されるべきものである。本件において、発明者が特定の者以外に販売しないことを想定していたといった事情や、特定の実施例に固執していたといった主観的事情は、第三者に対する公示機能を果たす特許請求の範囲の解釈を左右するものではない。明細書全体の記載や出願過程に照らして、客観的に技術的範囲を画定すべきであり、原審が主観的事情等に基づき限定的に解釈した点には、特許法70条の解釈を誤った違法がある。
結論
原判決を破棄し、被告製品が特許発明の技術的範囲に属するかどうかを客観的な基準に基づき再審理させるため、本件を原審に差し戻す。
事件番号: 昭和49(オ)175 / 裁判年月日: 昭和50年10月9日
【結論(判旨の要点)】実用新案権の技術的範囲の属否を判断するにあたり、構成要件の用語の意味は、特別の理由がない限り、通常の言語の用法に従って解釈すべきである。 第1 事案の概要:本件実用新案は、耕耘機とトレーラーを結合する「結合ピン」の軸心線上で動力結合を行う点に特徴があった。対象物件(イ号物件)は、耕耘機部分とトレー…
実務上の射程
特許法70条1項に基づく技術的範囲の解釈において、「文言解釈」の原則を強調するものである。実務上、発明者の主観や特定の限定的な実施態様に引きずられることなく、クレーム文言の客観的意味内容を優先すべき場面で引用される。
事件番号: 昭和55(行ツ)75 / 裁判年月日: 昭和55年10月16日
【結論(判旨の要点)】行政処分が違法とされるためには、処分に至る手続や判断過程において、考慮すべき事項を考慮せず、あるいは考慮すべきでない事項を考慮した等の裁量権の逸脱・濫用が認められなければならない。 第1 事案の概要:(※提示された判決文が文字化けにより判読不能なため、形式的な事案要約となる)特定の行政処分について…
事件番号: 昭和40(行ツ)88 / 裁判年月日: 昭和45年6月16日
【結論(判旨の要点)】特許権侵害の成否において、特許発明の目的を達成し得ない構成を採用した製品は、その発明の技術的範囲に属さないと解される。 第1 事案の概要:上告人は「研磨布の製造方法」に関する特許権を有していた。被上告人が製造・販売する製品(以下「本件製品」)の製造工程が、当該特許の構成要件を充足するかが争点となっ…
事件番号: 平成24(受)1204 / 裁判年月日: 平成27年6月5日 / 結論: 破棄差戻
1 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載されているいわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの場合であっても,その特許発明の技術的範囲は,当該製造方法により製造された物と構造,特性等が同一である物として確定される。 2 物の発明についての特許に係る特許請求の範囲にその物の製造方法が記載さ…