判旨
特許出願の拒絶査定に対する不服審判において、審判官が審理することなく審判請求を却下した決定に対し、適法な不服申立ての方法がない場合でも、行政事件訴訟法に基づく出訴期間等の制限が適用される。出願人が審判請求の適法性を争う場合は、審決取消訴訟の枠組みにおいて、審判手続の適法性を主張すべきである。
問題の所在(論点)
拒絶査定不服審判において、審判請求が不適法であるとして却下された場合に、出願人がどのような手続でこれを争うべきか、またその際の審理の対象が何かが問題となる。具体的には、審理不尽や手続的瑕疵を理由として却下決定の違法を主張できるかが論点となる。
規範
特許法に基づく拒絶査定不服審判において、特許庁が審判請求を不適法として却下する決定を行った場合、その決定自体に独立の不服申立方法が法定されていないとしても、出願人は当該決定の取消しを求める訴えを提起することができる。この際、審理の適正を担保する観点から、裁判所は審判手続の適法性(却下事由の存否)を審理の対象とし、手続的な瑕疵の有無を判断枠組みとする。
重要事実
出願人が特許出願の拒絶査定を受け、これに対し不服審判を請求したところ、審判官が審判請求の手続に不備がある、または期間を徒過している等の理由で、実体審理に入ることなく審判請求を却下する決定を行った。出願人は、この却下決定には理由がない(適法な審判請求である)として、決定の取り消しを求めて出訴した。
あてはめ
特許庁が審判請求を不適法として却下したことは、出願人に対して実体的な判断を受ける機会を奪う効果を持つ。判決文によれば、特許庁の判断に誤りがあり、本来審理すべきものを却下した場合には、その手続的な違法性を理由に決定を取り消すことができる。本件において、審判官が審理の必要がないと判断して却下したことは、手続上の判断として完結しており、その適否を裁判所が審査することが許容される。
結論
審判請求を却下した決定に不服がある場合は、審決取消訴訟に準じて、当該決定の取消しを求める訴えを提起すべきである。却下理由が存しない場合には、当該決定は違法として取り消される。
事件番号: 昭和26(オ)745 / 裁判年月日: 昭和28年10月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特許審決取消訴訟において、審判過程で主張されなかった事実や審決の基礎とされなかった事実を、訴訟段階で新たに主張し、裁判所がこれを判決の基礎として採用することは違法ではない。 第1 事案の概要:上告人(発明者)は、自らが発明した製粉機が当時の特許法1条にいう「新規ナル工業的発明」に該当すると主張して…
実務上の射程
行政処分としての審判却下決定に対する救済手段を認めた点に意義がある。司法試験の答案上では、行政法上の「処分性」や「訴えの利益」の文脈、あるいは知的財産法における審決取消訴訟の対象(手続的瑕疵の主張)として、審判における手続保障の重要性を強調する際に引用できる。
事件番号: 昭和48(行ツ)26 / 裁判年月日: 昭和50年7月4日 / 結論: 棄却
特許出願の拒絶査定に対する審判請求の際納付すべき手数料が不足するとしてその補正を命ぜられた者は、その指定された期間内又は遅くとも審判請求書却下決定のあるまでにこれを補正することを要し、右却下決定のあつた後は、たとえその確定前に右不足手数料の納付があつても、有効な補正があつたということはできない。
事件番号: 昭和54(行ツ)134 / 裁判年月日: 昭和59年3月13日
【結論(判旨の要点)】審決取消訴訟における特許無効の存否に関する裁判所の審理判断は、審判手続において当事者が主張し、かつ審理判断された審絶の理由に照らし、審決の適否を判断すべきものである。審決の結論を維持するために審理対象外の新たな証拠や理由に基づき判断することは許されない。 第1 事案の概要:特許庁が、本件発明(シア…
事件番号: 昭和44(行ツ)67 / 裁判年月日: 昭和46年3月25日 / 結論: 棄却
特許法(大正一〇年法律第九六号)四三条五項に基づく特許権の存続期間の延長の出願に対する不許可処分の取消の訴は、右特許権の出願公告の日から二五年を経過したときは、訴の利益を欠くものとして却下すべきである。
事件番号: 昭和32(オ)984 / 裁判年月日: 昭和36年4月4日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】分割出願の拒絶査定の適法性は、原出願の拒絶査定の適否とは別個に判断される。引用発明と根本的な技術思想が同一であれば、単なる材質の変更による耐久性の向上などは新規性を基礎付けず、引用例の一部が実施可能であれば、装置全体としての実施可能性を審理せずとも新規性を否定できる。 第1 事案の概要:上告人は原…