被疑者方居室に対する捜索差押許可状により同居室を捜索中に被疑者あてに配達され同人が受領した荷物についても,同許可状に基づき捜索することができる。
被疑者方居室に対する捜索差押許可状により同居室を捜索中に被疑者あてに配達され同人が受領した荷物について同許可状に基づき捜索することの可否
刑訴法102条,刑訴法218条1項,刑訴法219条1項
判旨
捜索場所を居室とする捜索差押許可状に基づき執行中、宅配便により被告人あてに配達され、被告人が受領した荷物について、警察官は当該許可状に基づき捜索することができる。
問題の所在(論点)
捜索差押許可状の呈示後に捜索場所へ搬入された物品に対し、当該許可状の効力が及ぶか(令状による捜索の対象範囲)。
規範
捜索場所を限定して発付された捜索差押許可状の効力は、令状呈示後にその場所に搬入され、被疑者が占有するに至った物品についても、当該場所内に存在する以上、当然に及ぶものと解する。
重要事実
警察官は、被告人方居室を捜索場所とする覚せい剤取締法違反の捜索差押許可状に基づき、被告人立会いのもと居室を捜索していた。その最中に、宅配便の配達員によって被告人あてに配達された荷物を被告人が受領した。警察官がその荷物を開封したところ、中から覚せい剤が発見されたため、被告人を現行犯逮捕し、当該覚せい剤を差し押さえた。
あてはめ
本件において、警察官は有効な捜索差押許可状に基づき被告人宅を適法に捜索中であった。配達された荷物は、執行開始後に搬入されたものであるが、被告人が受領したことにより、捜索場所である「居室」内に存在する被告人の占有物となった。したがって、当該荷物は許可状の実施対象に含まれる。令状呈示時に存在した物品に限定されるべきとの主張は、捜索の目的を達するために必要な範囲を不当に狭めるものであり、採用できない。
結論
本件荷物に対する捜索は、既に呈示されていた捜索差押許可状の効力に基づき適法に行われたものである。
実務上の射程
令状執行開始後に場所に持ち込まれた物件への射程を認めた重要判例である。答案上は、場所に対する令状の効力が「場所内にある物」に及ぶことを前提としつつ、執行中に加わった物件についても、受領等により当該場所の管理者の占有下に入ったといえる場合には、新たな令状なく捜索可能であると論じる際に用いる。
事件番号: 昭和29(あ)2287 / 裁判年月日: 昭和31年4月24日 / 結論: 棄却
捜査差押が、令状掲記の場所において差押の目的たる物につきなされた以上、押収品が、令状の執行を受くべき者以外の者の所有に属するというだけでは、右差押を違法ならしめるものではない。
事件番号: 平成19(あ)798 / 裁判年月日: 平成21年9月28日 / 結論: 棄却
荷送人の依頼に基づき宅配便業者の運送過程下にある荷物について,捜査機関が,捜査目的を達成するため,荷送人や荷受人の承諾を得ずに,これに外部からエックス線を照射して内容物の射影を観察する行為は,検証としての性質を有する強制処分に当たり,検証許可状によることなくこれを行うことは違法である。
事件番号: 平成14(あ)413 / 裁判年月日: 平成14年10月4日 / 結論: 棄却
被疑者が宿泊しているホテル客室に対する捜索差押許可状の執行に当たり,捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は,差押対象物件である覚せい剤を短時間のうちに破棄隠匿されるおそれがあったことなど判示の事情の下では,適法である。