1 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)であって,(1)投資信託約款において,受益証券の換金は受益者が委託者に対して信託契約の解約の実行を請求する方法によること,この解約実行請求は委託者又は受益証券を販売した会社に対して行うこと,委託者は受益者から解約実行請求があったときは信託契約の一部を解約し,一部解約金は上記会社の営業所等において受益者に支払うことが定められ,(2)上記会社が,委託者から,受益証券の販売のほか,解約実行請求の受付及び一部解約金の支払等の業務の委託を受け,受益証券が上記会社に保護預りされており,(3)上記会社と受益者との間の投資信託総合取引規定において,受益証券等の購入及び解約の申込みは上記会社の店舗等において受け付けること,解約金は取扱商品ごとに定められた日に受益者の預金口座に入金することなどが定められているものについては,上記会社は,解約実行請求をした受益者に対し,委託者から一部解約金の交付を受けることを条件として一部解約金の支払義務を負い,受益者は,上記会社に対し,上記条件の付いた一部解約金支払請求権を有する。 2 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)であって,(1)投資信託約款において,受益証券の換金は受益者が委託者に対して信託契約の解約の実行を請求する方法によること,この解約実行請求は委託者又は受益証券を販売した会社に対して行うこと,委託者は受益者から解約実行請求があったときは信託契約の一部を解約し,一部解約金は上記会社の営業所等において受益者に支払うことが定められ,(2)上記会社が,委託者から,受益証券の販売のほか,解約実行請求の受付及び一部解約金の支払等の業務の委託を受け,受益証券が上記会社に保護預りされているものについては,上記会社が委託者から一部解約金の交付を受けることを条件として効力を生ずる受益者の上記会社に対する一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者は,取立権の行使として,上記会社に対して解約実行請求の意思表示をすることができ,委託者によって信託契約の一部解約が実行されて上記会社が一部解約金の交付を受けたときは,上記会社から同請求権を取り立てることができる。
1 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の受益者が解約実行請求をした場合と受益者の受益証券を販売した会社に対する一部解約金支払請求権 2 証券投資信託であるMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の受益者が受益証券を販売した会社に対して有する一部解約金支払請求権を差し押さえた債権者が取立権の行使として上記会社に対し解約実行請求をして同請求権を取り立てることの可否 (1,2につき参考図参照)
(1,2につき)投資信託及び投資法人に関する法律2条4項,民法127条,(2につき)民事執行法155条1項
判旨
投資信託の受益者は販売会社に対し、委託者から一部解約金の交付を受けることを条件とする解約金支払請求権を有し、当該債権の差押債権者は、取立権の行使として販売会社に対し解約実行請求の意思表示をすることができる。
問題の所在(論点)
投資信託の受益者が販売会社に対して有する債権の性質、および当該債権の差押債権者が取立権(民執法155条1項)に基づき、販売会社に対して解約実行請求の意思表示をなしうるか。
規範
1. 投資信託の販売会社と受益者との間の取引規定および約款の定めに照らせば、受益者は販売会社に対し、販売会社が委託者から一部解約金の交付を受けることを停止条件とする一部解約金支払請求権を有する。2. 金銭債権を差し押さえた債権者は、民事執行法155条1項に基づき、自己の名で被差押債権の取立てに必要な範囲内の一切の権利(一身専属的なものを除く)を行使できる。3. 解約実行請求は、条件付解約金支払請求権の取立てに不可欠な行為であり、取立ての範囲を超えないため、差押債権者は取立権の行使としてこれを行うことができる。
重要事実
Aは、販売会社である被上告人から投資信託(MMF)を購入した。本件約款等では、受益者は委託者B又は販売会社に対し解約実行請求ができ、Bが解約を実行して販売会社に解約金を交付し、販売会社が受益者に支払う仕組みとなっていた。Aの債権者Dは、Aが被上告人に対して有する解約金支払請求権(本件被差押債権)を差し押さえ、転付命令を得た。Dは被上告人に対し、取立権に基づき解約実行請求の意思表示をしたが、被上告人がBに通知せず解約が実行されなかったため、解約金の支払を求めて提訴した。
あてはめ
1. 取引規定等により、被上告人は受益者からの解約請求をBに通知し、Bから交付された解約金を受益者に支払う義務を負う。よって、受益者Aは被上告人に対し「Bからの交付」を条件とする支払請求権を有し、これは差押えの対象となる。2. 解約実行請求は、本件条件付債権を顕在化させ取立てを完成させるために必要不可欠な行為であり、一身専属的な権利ともいえない。3. Dが取立権に基づき解約請求をしたにもかかわらず、被上告人がBへの通知義務を怠り条件成就を妨げた場合、民法130条の条件成就のみなしが適用される余地がある。
結論
差押債権者は、取立権の行使として販売会社に対し解約実行請求をすることができ、販売会社が通知を怠れば民法130条により支払義務を負いうるため、請求を棄却した原判決は破棄を免れない。
実務上の射程
投資信託受益権の差押えにおいて、販売会社を第三債務者とする差押えの有効性を認めるとともに、差押債権者自らが解約手続を起動できることを認めた実務上重要な判断である。民法130条の不当阻止の構成も答案で有用である。
事件番号: 平成10(オ)331 / 裁判年月日: 平成13年11月27日 / 結論: 棄却
指名債権譲渡の予約についてされた確定日付のある証書による債務者に対する通知又は債務者の承諾をもって,当該予約の完結による債権譲渡の効力を第三者に対抗することはできない。