村の発注する公共工事の指名競争入札に昭和60年ころから平成10年度まで指名を受けて継続的に参加し工事を受注してきていた建設業者に対し,村が,村外業者に当たること等を理由に,同12年度以降全く指名せず入札に参加させない措置を採った場合において,(1)村内業者で対応できる工事の指名競争入札では村内業者のみを指名するという実際の運用基準は村の要綱等に明定されておらず,村内業者であるか否かの客観的で具体的な判定基準も明らかにされていなかったこと,(2)上記業者は,平成6年に代表者らが同村から県内の他の町へ転居した後も,登記簿上の本店所在地を同村内とし,同所に代表者の母である監査役が居住し,上記業者の看板を掲げるなどしており,平成10年度までは指名を受け,受注した工事において施工上の支障を生じさせたこともうかがわれないことなど判示の事情の下では,指名についての上記運用及び上記業者が村外業者に当たるという判断が合理的であるとし,そのことのみを理由として,村の上記措置が違法であるとはいえないとした原審の判断には違法がある。 (補足意見及び反対意見がある。)
村の発注する公共工事の指名競争入札に長年指名を受けて継続的に参加していた建設業者を特定年度以降全く指名せず入札に参加させなかった村の措置につき上記業者が村外業者に当たることを理由に違法とはいえないとした原審の判断に違法があるとされた事例
地方自治法234条1項,地方自治法234条2項,地方自治法234条6項,地方自治法施行令167条,地方自治法施行令167条の11,地方自治法施行令167条の12,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律8条1号,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令7条1項2号,公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律施行令7条1項3号
判旨
普通地方公共団体が公共工事の指名競争入札において、村内業者であることを重視し村内業者で対応可能な工事には村内業者のみを指名する運用を行う場合であっても、客観的・具体的な判定基準を欠き、かつ長年の指名実績がある業者を村外業者であることのみを理由に一切指名しない措置は、考慮すべき事項を考慮せず、一つの要素のみを重視する点において裁量権を逸脱・濫用したものとして違法となる。
問題の所在(論点)
地方公共団体の長が、公共工事の指名競争入札において「村外業者であること」のみを理由に特定の業者を一切指名しない措置を継続することが、国家賠償法1条1項の適用において裁量権の逸脱又は濫用にあたるか。
規範
地方公共団体の長が指名競争入札の参加者を指名する判断は、広範な裁量に委ねられるが、恣意は許されず、その権限行使が明らかに不合理であるなど裁量権を逸脱・濫用した場合には国家賠償法1条1項上違法となる。指名基準の策定・公表を義務付ける公共工事入札適正化法の趣旨(機会均等、公正性、透明性の確保)に照らせば、地元の経済活性化等の合理性がある場合でも、競争性の確保の観点を含め検討すべきであり、特定の考慮要素のみを重視して他の諸事情を全く考慮しない運用は、社会通念上著しく妥当性を欠くものとして裁量権の逸脱・濫用となり得る。
重要事実
1.上告人は、徳島県旧木屋平村(現・被上告人)発注工事に昭和60年頃から継続的に指名され受注実績があった。2.村は「村内業者(主たる営業所を村内に有する者)で対応できない工事以外は村内業者のみを指名する」という運用を行っていた。3.村は、上告人の本店所在地には実態がなく村外業者であると判定し、平成12年度から16年度まで一切の指名を行わなかった。4.村の資格審査要綱等には、村内業者の判定に関する客観的・具体的な基準は定められておらず、指名回避の理由も上告人に明らかにされていなかった。
あてはめ
まず、地方自治法等が一般競争入札を原則とし、入札適正化法が透明性・公正性を求めていることに鑑みれば、村内業者優先の運用も常に裁量権の範囲内とはいえない。本件では、(1)村内業者の判定基準が不明確であり、恣意的運用が可能な状態であったこと、(2)上告人は長年村内業者として指名実績があり、施工上の支障も生じさせていない実態があったこと、(3)形式上村外業者だとしても工事内容により村内業者と同様に扱う合理性があり得たことが指摘できる。それにもかかわらず、村がこれら諸事情を考慮せず、村外業者であるという一事のみを理由に一切の指名から排除したことは、考慮すべき事項を十分に考慮したものとはいえず、極めて不合理である。
結論
平成12年度以降の上告人を指名しなかった措置には、裁量権の逸脱又は濫用があったと解される余地があるため、違法ではないとした原判決を破棄し、更なる審理のため差し戻す。
実務上の射程
本判決は、地方公共団体の指名権が「白紙委任」ではなく、入札適正化法等の趣旨により制約を受けることを示した。特に「地元業者優先」という一般的な政策であっても、長年の実績がある業者を排除する際には、具体的・客観的な基準と個別事情の考慮が必要であることを要求している。
事件番号: 平成17(受)530 / 裁判年月日: 平成18年4月20日 / 結論: 棄却
1 静岡県公文書の開示に関する条例(平成元年静岡県条例第15号。平成12年静岡県条例第58号による全部改正前のもの)に基づき開示請求がされた公文書に記載された情報が虚偽であった場合において,同条例には開示請求に係る公文書の記載内容の真否を調査すべき旨の定めはなく,かえって,公文書の開示の可否は原則として開示請求書を受理…