1 建築会社の担当者が,顧客に対し,銀行から融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後,敷地として建築確認を受けた土地の一部を売却することにより融資の返済資金を調達する計画を提案し,顧客が,上記計画に沿って銀行から融資を受けて建物を建築したが,その後,上記土地の一部を予定どおり売却することができず,上記融資の返済資金を調達することができなくなったところ,上記計画には,上記土地の一部の売却によりその余の敷地部分のみでは上記建物が容積率の制限を超える違法な建築物となり,また,上記土地の一部の買主がこれを敷地として建物を建築する際には,敷地を二重に使用することとなって建築確認を直ちには受けられない可能性があるという問題があったなど判示の事実関係の下においては,上記問題を認識しながらこれを顧客に説明しなかった上記担当者には,信義則上の説明義務違反がある。 2 銀行の担当者が,顧客に対し,融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後,敷地として建築確認を受けた土地の一部を売却することにより融資の返済資金を調達する計画を提案した建築会社の担当者と共に,上記計画を説明し,顧客が,上記計画に沿って銀行から融資を受けて建物を建築したが,その後,上記土地の一部を予定どおり売却することができず,上記融資の返済資金を調達することができなくなったところ,上記計画には,上記土地の一部の買主がこれを敷地として建物を建築する際,敷地を二重に使用することとなって建築確認を直ちには受けられない可能性があることなどの問題があったなど判示の事実関係の下においては,顧客が,原告として,銀行の担当者は顧客に対して上記土地の一部の売却について取引先に働き掛けてでも確実に実現させる旨述べたなどの事情があったと主張しているにもかかわらず,上記事情の有無を審理することなく,上記担当者について,上記問題を含め上記土地の一部の売却可能性を調査し,これを顧客に説明すべき信義則上の義務がないとした原審の判断には,違法がある。
1 建築会社の担当者が顧客に対し融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後にその敷地の一部売却により返済資金を調達する計画を提案した際に上記計画には建築基準法にかかわる問題があることを説明しなかった点に説明義務違反があるとされた事例 2 建築会社の担当者と共に顧客に対し融資を受けて顧客所有地に容積率の制限の上限に近い建物を建築した後にその敷地の一部売却により返済資金を調達する計画を説明した銀行の担当者に上記計画には建築基準法にかかわる問題があることについての説明義務違反等がないとした原審の判断に違法があるとされた事例
(1,2につき)民法1条2項,民法415条,民法709条,建築基準法52条 (1につき)民法632条 (2につき)民法587条
判旨
土地有効利用計画の提案において、建築後の敷地売却が容積率制限等の関係で困難であることを認識しながら説明しなかった場合、信義則上の説明義務違反が成立する。また、融資銀行であっても、具体的な資金計画の提示や売却実現への関与など特段の事情がある場合には、同様の説明義務を負いうる。
問題の所在(論点)
1. 建築計画の提案主体(Y2)に、敷地の二重使用等の法的制限に関する説明義務違反(不法行為又は債務不履行)が認められるか。 2. 融資主体である銀行(Y1)に対し、顧客の返済計画の妥当性や物件の売却可能性について調査・説明すべき信義則上の義務が認められるか。
事件番号: 昭和49(オ)1019 / 裁判年月日: 昭和50年6月27日 / 結論: 棄却
準禁治産者が取消の対象である金銭消費貸借契約によつて得た利益を賭博に浪費し、右利益が現存しない場合には、その返還義務を負わない。
規範
1. 建築会社等は、土地利用計画の提案に際し、計画の実現可能性に重大な影響を及ぼす法的制限(容積率制限や敷地の二重使用問題等)及びそれに伴う資産価値の低下について、信義則上、顧客に説明すべき義務を負う。 2. 銀行等の金融機関は、原則として返済計画の実現可能性を調査・説明する義務を負わないが、自ら具体的な資金計画を作成・提示し、売却の確実性を確約するなどの「特段の事情」がある場合には、例外的に当該義務を負う。
重要事実
上告人は、銀行(被上告人Y1)から紹介された建築会社(被上告人Y2)より、土地上に建物を建築し、後に敷地の一部(北側土地)を売却して借入金を返済する計画を提案された。しかし、建物を建築すると北側土地は容積率算定の基礎となる「敷地」に含まれるため、売却後は残存建物が違法建築物となり、また買主も建築確認を受けられない「敷地の二重使用」の問題が生じる。Y2担当者はこの問題を認識しつつ説明せず、銀行担当者もY2と共に計画を説明し融資を行った。後に売却が困難となり、上告人は債務不履行に陥った。
あてはめ
1. Y2について:本件計画の根幹である北側土地の売却は、容積率制限や敷地の二重使用により買主への開示義務が生じ、売却価格の著しい低下が不可避であった。これは契約締結の極めて重要な考慮要素である。Y2担当者は、これを認識しながら「発覚しなければ支障ない」との不当な判断に基づき説明を怠ったため、説明義務違反が明白である。 2. Y1について:本来、返済計画の検討は借受人の責任だが、本件では銀行担当者がY2と共同で投資プランを作成・説明し、上告人を信頼させた。さらに、銀行側が売却を確実に実現させる旨述べるなどの「特段の事情」があれば、銀行にも調査・説明義務を肯定する余地がある。
結論
建築会社Y2には説明義務違反による損害賠償責任が認められる。銀行Y1についても、計画への関与の程度等の「特段の事情」の有無を審理させるため、原審に差し戻すべきである。
実務上の射程
契約締結上の過失や信義則上の説明義務を論じる際の重要判例。特に、融資者という立場であっても、単なる融資を超えてコンサルティング的な関与(計画の提示等)を深めた場合には、専門家としての説明義務を負いうるという射程の広がりを示す際に活用できる。
事件番号: 昭和46(オ)908 / 裁判年月日: 昭和47年12月19日 / 結論: 破棄差戻
根抵当権設定の交渉過程において、当初は債権者が債務者を再興させるために一定の条件が成就したときに行なうべき再建融資のみを被担保債権とすることが予定されていたが、その後右条件成就が未定の間に、債権者が債務者の支払手形を決済させるためのつなぎ融資を行ない、根抵当権設定者において後者を被担保債権に加えることに同意する等判示の…
事件番号: 昭和43(オ)916 / 裁判年月日: 昭和44年7月4日 / 結論: 棄却
一、労働金庫の会員外の者に対する貸付は無効である。 二、労働金庫の員外貸付が無効とされる場合においても、右貸付が判示のような事情のもとにされたものであつて、右債務を担保するために設定された抵当権が実行され、第三者がその抵当物件を競落したときは、債務者は、信義則上、右競落人に対し、競落による所有権の取得を否定することは許…
事件番号: 昭和46(オ)88 / 裁判年月日: 昭和48年12月24日 / 結論: 破棄差戻
自称代理人が、金融業者から金融を受け、その債務を担保するため本人所有の農地につき抵当権設定契約及び条件付売買契約を締結するにあたり、本人の実印の押捺された金銭消費貸借並びに抵当権設定証書、農地法三条一項による許可申請書、登記のための委任状及び本人の印鑑証明書を提出したけれども、目的農地の登記済権利証を提出せず、貸主は本…
事件番号: 昭和39(オ)264 / 裁判年月日: 昭和41年4月22日 / 結論: 棄却
一 民法第一〇九条の代理権授与表示者が、代理行為の相手方の悪意または過失を主張・立証した場合には、同条所定の責任を免れることができる。 二 甲が代理権を乙に授与した旨表示し、乙が、甲の代理人として、丙と甲所有の不動産について根抵当権を設定する旨の契約を締結した場合において、乙が右不動産の権利証、甲の白紙委任状及び印鑑証…