児童の姿態に係る画像データを記憶,蔵置させて児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを製造し,これを所持する行為は,販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのためのものである場合には,コンパクトディスク作成の際に児童の目の部分にぼかしを入れるなどの加工を施す意思であっても,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項にいう「前項に掲げる行為の目的」のうちの児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」で行われたものということができる。
児童ポルノ・わいせつ物である光磁気ディスクを販売用コンパクトディスク作成に備えてのバックアップのために製造所持した行為について児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条2項の児童ポルノを販売する目的及び刑法175条後段にいう「販売の目的」があるとされた事例
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成16年法律第106号による改正前のもの)7条1項,2項,刑法175条後段
判旨
わいせつ物頒布罪等における「販売する目的」の認定において、目的物の内容がわいせつ物であることを認識しつつ、その複製物を販売するために元データをバックアップとして所持・保管する行為は、販売の手段に供する目的があるものとして同罪の目的に該当する。
問題の所在(論点)
刑法175条(改正前)のわいせつ物頒布等の罪において、直接の販売対象ではないバックアップ用のデータ保管行為について「販売する目的」が認められるか。
規範
刑法175条(改正前)にいう「販売する目的」とは、わいせつ物を不特定または多数の者に有償で譲渡する意図を指す。販売の対象そのものではなくとも、販売に供されるわいせつ物の複製・作成の元データとして保管する行為は、販売行為に密接に関連し、その手段として行われるものである以上、販売の目的に含まれる。
事件番号: 平成20(あ)1703 / 裁判年月日: 平成21年7月7日 / 結論: 棄却
1 児童ポルノを,不特定又は多数の者に提供するとともに,不特定又は多数の者に提供する目的で所持した場合,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条4項の児童ポルノ提供罪と同条5項の同提供目的所持罪とは併合罪の関係にある。 2 児童ポルノであり,かつ,刑法175条のわいせつ物である物を,不特定…
重要事実
被告人は、わいせつな画像データを磁気ディスク(MOディスク)に記録・保存し、これを「商品」として販売・頒布していた。その際、被告人は当該磁気ディスクとは別に、販売用ディスクを作成するための元データ(バックアップ)を保存したハードディスクを所持していた。被告人側は、当該ハードディスク自体を販売する目的はなかったと主張した。
あてはめ
被告人は、わいせつな画像データを記録した磁気ディスクを販売する目的を有していた。本件ハードディスクに保存されたデータは、販売用ディスクを作成・複製するための元データとして機能しており、販売活動を継続・維持するための不可欠な手段として保管されていたものである。したがって、当該ハードディスクを直接販売するつもりがなくとも、販売に供するわいせつ物の供給源として所持・保管する以上、広義の「販売する目的」があったと評価される。
結論
本件ハードディスクの所持について、販売する目的があったと認めた原判決の判断は正当である。
実務上の射程
わいせつ物の所持・保管が「販売目的」に基づくか否かの判断において、対象物そのものの流通意図だけでなく、販売行為を支える予備的・補助的な保管行為にも広く目的を認める基準として活用できる。
事件番号: 平成17(あ)1342 / 裁判年月日: 平成18年2月20日 / 結論: 棄却
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律2条3項各号のいずれかに掲げる姿態を児童にとらせ,これを電磁的記録に係る記録媒体に記録した者が,当該電磁的記録を別の記録媒体に記憶させて児童ポルノを製造する行為は,同法7条3項の児童ポルノ製造罪に当たる。
事件番号: 昭和46(あ)1666 / 裁判年月日: 昭和46年12月23日 / 結論: 棄却
わいせつ文書等の頒布等を禁止した刑法一七五条は、憲法一三条に違反しない。
事件番号: 昭和58(あ)1546 / 裁判年月日: 昭和59年9月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑法175条のわいせつ物頒布等の規定は、憲法13条、21条、31条に違反せず、また、他人の権利侵害や未成年者への配慮を欠く場合に限定して解釈しなくとも合憲である。 第1 事案の概要:被告人が刑法175条の罪に問われた事案において、被告人および弁護人は、同条が個人の幸福追求権(憲法13条)や表現の自…
事件番号: 平成12(あ)1769 / 裁判年月日: 平成14年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】児童買春・児童ポルノ禁止法2条3項各号に規定される「性欲を興奮させ又は刺激するもの」という要件は、一般人の通常人が具体的場合に判断可能な基準であり、明確性の原則(憲法31条)等に反しない。 第1 事案の概要:被告人は、児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(児童ポルノ禁…