判旨
労働組合法7条3号の不当労働行為(支配介入)に係る救済申立てについて、当該労働組合だけでなく、その組合員である労働者個人も申立人適格を有すると判断した。
問題の所在(論点)
労働組合法7条3号の不当労働行為(支配介入)を理由とする救済申立てについて、労働者個人が申立人適格を有するか。
規範
労働委員会による不当労働行為救済制度は、労働者の団結権及び団体行動権の保護を目的とし、労働組合法7条の規定の実効性を担保するために設けられたものである。この趣旨に照らせば、使用者が同条3号の不当労働行為を行ったことを理由として救済申立てをするについては、当該労働組合のみならず、その組合員個人も申立て適格を有する。
重要事実
京都市交通局に勤務し、労働組合の支部長を務めていた上告人は、庶務係長への昇任を内容とする人事異動(本件異動)を受けた。上告人は、本件異動が支配介入(労組法7条3号)に該当するとして労働委員会に救済を申し立てたが、労働委員会および下級審は、原則として労働組合のみが申立人適格を有し、組合の自浄作用が期待できない等の特段の事情がない限り個人による申立ては認められないとして、これを却下したため、上告人がその取り消しを求めた。
あてはめ
不当労働行為救済制度の目的は、団結権等の憲法上の権利の保障を実効的なものにすることにある。支配介入は労働組合の自主性を侵害するものであるが、同時に組合員個人の団結権を侵害する側面も有する。したがって、組合員は当該不当労働行為によって自身の法的利益を侵害されているといえ、制度の趣旨からすれば、特段の事情の有無にかかわらず、個人に申立人適格を認めるのが相当である。本件において、上告人は当該組合の組合員であり、本件異動が3号該当性を有すると主張している以上、申立人適格は認められるべきである。
結論
労働者個人も労働組合法7条3号の不当労働行為に係る救済申立ての適格を有するため、却下した原処分は違法であり、取り消されるべきである。
事件番号: 平成15(行ヒ)109 / 裁判年月日: 平成16年7月12日 / 結論: その他
労働組合の組合員は,使用者が労働組合法7条3号の不当労働行為を行ったことを理由とする救済申立てについて,申立て適格を有する。
実務上の射程
支配介入(3号)に関し、組合員個人の申立人適格を広く認めた重要判例。答案上は、不当労働行為の申立人適格が問題となる場面で、制度の趣旨(団結権保護・実効性確保)と結びつけて活用する。不利益取扱い(1号)だけでなく、支配介入においても個人の是正を求める利益を肯定した点に意義がある。
事件番号: 平成5(行ツ)141 / 裁判年月日: 平成7年4月14日 / 結論: その他
従来、時間外割増賃金及び深夜割増賃金を含むとの認識の下に水揚高に一定率を乗じた歩合による賃金を支払っていた使用者が、労働基準監督署から割増賃金部分を明確にするよう指導を受けたため、水揚高に従前の率を若干下回る率を乗じた金額を基礎給としこれに時間外割増賃金及び深夜割増賃金を加算して支払うことを内容とする賃金計算方法を採用…
事件番号: 平成22(行ヒ)52 / 裁判年月日: 平成24年2月23日 / 結論: 破棄自判
旅客鉄道事業等を営む会社である使用者が,運転士の経験のない者に対する運転士発令につき車掌職の経験をほぼ必要不可欠な条件とする運用を始めるに当たり,既に運転士の資格を有しているが運転士への発令を留保され車掌職の経験もない未発令の労働者のうち,希望者の中から選考した者に対し車掌となるための教育を行うこととした場合において,…
事件番号: 昭和56(行ツ)205 / 裁判年月日: 昭和60年7月19日 / 結論: その他
一 法律上独立した権利義務の帰属主体でない法人組織の構成部分は、労働組合法二七条及び七条所定の使用者に当たらない。 二 法律上独立した権利義務の帰属主体でない法人組織の構成部分を名宛人とする救済命令は、当該法人に対し命令の内容を実現することを義務付けるものとして、効力を有する。 三 法律上独立した権利義務の帰属主体でな…
事件番号: 平成13(行ヒ)96 / 裁判年月日: 平成15年12月22日 / 結論: 棄却
1 日本国有鉄道改革法6条2項所定の旅客鉄道株式会社及び同法8条2項所定の日本貨物鉄道株式会社の設立委員ひいては上記各社は,その成立の時の職員の採用について,日本国有鉄道がその職員の中から上記各社の職員となるべき者を選定してその名簿を作成するに当たり専らその意思により組合差別をしたという場合には,労働組合法7条にいう使…