認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが弁護士法72条に違反する場合であっても,当該和解契約は,その内容及び締結に至る経緯等に照らし,公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り,無効とはならない。
認定司法書士が弁護士法72条に違反して締結した裁判外の和解契約の効力
弁護士法72条,司法書士法3条1項7号,民法90条
判旨
認定司法書士が140万円を超える過払金請求権につき代理して締結した裁判外の和解契約は、弁護士法72条に違反する場合であっても、公序良俗違反の性質を帯びるような特段の事情がない限り、当然には無効とならない。
問題の所在(論点)
認定司法書士が代理権の範囲(140万円)を超えて行った裁判外の和解契約が、弁護士法72条違反を理由として私法上無効となるか。
規範
弁護士法72条に違反して締結された委任契約は民法90条により無効となるが、当該委任に基づく和解契約の効力は別個に判断すべきである。同条の趣旨は非弁活動による公序良俗の攪乱防止にあり、刑罰や懲戒、委任契約の無効(報酬請求権の否定)によってその実効性は保障されている。したがって、和解契約の内容や締結経緯に照らし、公序良俗違反の性質を帯びるに至るような「特段の事情」がない限り、和解契約自体は無効とはならない。
重要事実
認定司法書士である補助参加人は、依頼人Aから約330万円の過払金返還請求の委任を受けた。補助参加人は140万円(司法書士法3条1項7号)を超える代理権がないことを説明したが、Aは早期解決を希望。補助参加人はAの意向に基づき、相手方貸金業者と200万円の支払を受ける裁判外の和解を締結した。その後、Aの破産管財人が当該和解は弁護士法72条違反で無効であると主張し、過払金の全額返還を求めた。
あてはめ
本件和解の内容は、約330万円の請求に対し200万円の支払を受けるものであり、その内容は不当とはいえない。また、経緯としても、補助参加人はAに対し過払金額を正確に説明し、訴訟の負担を避けたいというAの真意に基づく意向を確認した上で締結している。このように、依頼人の利益が損なわれた事実はなく、公序良俗違反の性質を帯びるような特段の事情は認められない。
結論
本件和解契約は有効であり、Aの過払金返還請求権は和解によって消滅しているため、破産管財人の請求は棄却される。
実務上の射程
非弁提携や非弁活動が介在する契約の効力に関するリーディングケース。代理権の欠缺や業法違反があっても、直ちに相手方との契約が無効になるわけではなく、取引の安全や当事者の合理的意思を重視して「特段の事情」がない限り有効性を維持する判断枠組みを示す。
事件番号: 平成18(受)1534 / 裁判年月日: 平成19年7月19日 / 結論: 棄却
同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずにされた多数回の金銭の貸付けが,1度の貸付けを除き,従前の貸付けの切替え及び貸増しとして長年にわたり反復継続して行われており,その1度の貸付けも,前回の返済から期間的に接着し,前後の貸付けと同様の方法と貸付条件で行われたものであり,上記各貸付けは1個の連続した貸付取引と解すべきも…
事件番号: 平成23(受)1948 / 裁判年月日: 平成25年7月18日 / 結論: その他
1 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において,過払金が発生している時点で新たな借入れをしたときには,利息制限法(平成18年法律第115号による改正前のもの)1条1項にいう「元本」の額は,新たな借入金に上記過払金…