刑訴法448条2項による刑の執行停止決定に対しては,同法419条による抗告をすることができる。
刑訴法448条2項による刑の執行停止決定に対する不服申立ての方法
刑訴法419条,刑訴法420条1項,刑訴法420条2項,刑訴法448条2項,刑訴法450条
判旨
刑事訴訟法448条2項に基づく刑の執行停止決定は、判決を目標とする訴訟手続の前提としてなす決定ではないため、同法420条の制限を受けず、同法419条による一般抗告が可能である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法448条2項に基づき、裁判所が職権で行った刑の執行停止決定に対し、検察官は一般抗告(419条)を申し立てることができるか。当該決定が「訴訟手続に関し判決前にした決定」(420条1項)に該当し、抗告が制限されるかが問題となる。
規範
刑事訴訟法419条は、裁判所のした決定に対し、不服申立てを許さないとする特別の規定がある場合を除き、抗告をすることができると定める。同法420条1項が制限する「訴訟手続に関し判決前にした決定」とは、判決を目標とする訴訟手続に関し、その前提としてなす個々の決定を指す。再審開始決定に伴う刑の執行停止決定(448条2項)は、刑の執行に関する決定であり、再審の終局裁判を目的とする手続の前提ではないから、420条の制限を受けない。
重要事実
無期懲役刑により服役中の申立人に対し、地方裁判所が再審開始決定を行い、これに伴い職権で刑の執行停止決定(448条2項)をした。検察官は再審開始決定に即時抗告するとともに、執行停止決定に対しても抗告を申し立てた。原審がこの抗告を適法と認めたため、申立人が特別抗告を行ったものである。
事件番号: 昭和24(ク)21 / 裁判年月日: 昭和24年9月28日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する抗告は、民事訴訟法等の法令において特に最高裁判所への申し立てが許容されている場合に限り認められ、これに該当しない抗告は不適法である。 第1 事案の概要:抗告人らが最高裁判所に対して抗告を申し立てたが、当該抗告が法律の規定により最高裁判所に申し立てることが特に許容された類型に該当す…
あてはめ
刑訴法448条2項による決定は、再審開始決定がされた際に行われる刑の執行に関する決定である。これは、再審開始手続や再審開始後の審判手続において、終局裁判を行うための前提としてなされる決定ではない。したがって、最高裁大法廷判例が示す「訴訟手続に関し判決前にした決定」の定義に当てはまらず、420条の適用範囲外である。その結果、419条の原則に戻り、抗告を禁止する特別規定もないことから、一般抗告が認められると解される。
結論
本件刑の執行停止決定に対する検察官からの抗告は適法であり、これを認めた原決定の結論は正当であるため、特別抗告を棄却する。
実務上の射程
再審手続における執行停止決定の不服申立ての可否を明示した重要判例。420条の「訴訟手続に関し判決前にした決定」の意義を限定的に解釈する大法廷判例を引用し、執行に関する決定との区別を明確にしている。実務上、検察官による抗告の道を開く一方、被告人側からの執行停止不許可に対する不服申立ての根拠としても活用し得る。
事件番号: 昭和56(し)113 / 裁判年月日: 昭和56年10月2日 / 結論: その他
刑の執行猶予言渡取消決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件において、裁判の執行を停止する場合には、原決定を対象とすべきである。
事件番号: 昭和27(し)35 / 裁判年月日: 昭和33年9月29日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下で公判請求された事件(旧法事件)の執行猶予取消請求における特別抗告は、刑事訴訟法応急措置法18条に基づき、憲法判断の不当を理由とする場合に限定される。 第1 事案の概要:本件は、執行猶予の言渡しを受けた被告人に対し、その取消しを求める請求に関する事件である。被告事件の公判請求は、第1…
事件番号: 昭和28(し)28 / 裁判年月日: 昭和28年5月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所への特別抗告は、刑事訴訟法405条に規定する事由がある場合に限り認められ、単なる法律解釈の争いは不適法である。 第1 事案の概要:抗告人が、刑事訴訟法349条(刑の執行猶予の言渡しの取消しの手続)の解釈を巡り不服を申し立て、最高裁判所に対し特別抗告を行った事案。抗告人は主張の中で憲法違反…
事件番号: 昭和43(し)33 / 裁判年月日: 昭和43年6月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法は81条を除き審級制度を規制しておらず、すべて立法の裁量にゆだねられている。したがって、刑訴法433条1項所定の場合を除き再抗告を認めないことは憲法32条に違反しない。 第1 事案の概要:抗告裁判所がした決定に対し、抗告人が更なる抗告を申し立てた事案である。抗告人は、刑訴法433条1項(憲法違…