1 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合における利息制限法1条1項にいう「元本」の額は,各借入れの時点における従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額をいい,従前の借入金残元本の額は,弁済金のうち制限超過部分があるときはこれを上記基本契約に基づく借入金債務の元本に充当して計算する。 2 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において,上記取引の過程におけるある借入れの時点で,従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における下限額を下回るに至ったとしても,上記取引に適用される制限利率は変更されない。
1 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され,同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合における利息制限法1条1項にいう「元本」の額 2 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合において,上記取引の過程におけるある借入れの時点で従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における下限額を下回るに至ったときに,上記取引に適用される制限利率
利息制限法1条1項
判旨
基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引において、残元本と新規借入額の合計が利息制限法所定の各区分を下回るに至っても、適用される制限利率が低い利率から高い利率へ変更されることはない。
問題の所在(論点)
基本契約に基づく継続的取引において、計算上の元本合計額が減少して利息制限法1条1項所定の区分を下回るに至った場合、適用される制限利率が変更(上昇)されるか。
規範
基本契約に基づく継続的な取引において、利息制限法1条1項の『元本』の額は、各借入れ時点における従前の借入金残元本(制限超過分を充当後の額)と新たな借入金との合計額を指す。ある借入れにより当該合計額が各区分の基準額を超えた場合には制限利率が低下するが、その後に合計額が基準額を下回るに至っても、一旦有効となった制限利率が上昇し、無効であった利息の約定が有効になることはない。
事件番号: 平成21(受)1192 / 裁判年月日: 平成21年9月4日 / 結論: 棄却
いわゆる過払金充当合意(過払金発生当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意)を含む基本契約に基づく金銭消費貸借の借主が利息制限法所定の制限を超える利息の支払を継続したことにより過払金が発生した場合においても,悪意の受益者である貸主は過払金発生の時から民法704条前段所…
重要事実
上告人は被上告人との間で、利率が利息制限法を超える基本契約を締結し、継続的に借入れと弁済を繰り返した。取引開始時の借入額は20万円であり(制限利率18%の区分)、その後、充当計算後の残元本と新規借入額の合計は100万円未満で推移した。しかし、平成17年12月の借入れ時点において、残元本と新規借入額の合計が10万円未満(制限利率20%の区分)となった。
あてはめ
本件取引開始時の借入金が20万円であった以上、この時点で適用される制限利率は年1割8分(18%)に確定する。その後の借入れ時点において、残元本と新たな借入金の合計額が10万円未満に減少したとしても、利息制限法の趣旨に照らし、既に確定した制限利率が年2割(20%)へ変更されることはない。したがって、全期間を通じて年1割8分を上限として計算すべきである。
結論
元本合計額が10万円未満に減少しても制限利率は年1割8分のままであり、年2割への変更を認めて過払金額を算出した原判決には法令の解釈適用の誤りがある。
実務上の射程
利息制限法の「元本」の定義を判示した上で、制限利率の「片面的な下方固定性」を認めた点に射程がある。答案上は、利息制限法1条の適用において、元本額の変動がある継続的取引での利息計算の基準として用いる。
事件番号: 平成23(受)122 / 裁判年月日: 平成24年9月11日 / 結論: 破棄差戻
同一の貸主と借主との間で無担保のリボルビング方式の金銭消費貸借に係る基本契約に基づく取引が続けられた後,改めて不動産に担保権を設定した上で確定金額に係る金銭消費貸借契約が締結された場合において,第2の契約に基づく借入金の一部が第1の契約に基づく約定残債務の弁済に充てられ,借主にはその残額のみが現実に交付されたこと,第1…
事件番号: 平成22(受)1983 / 裁判年月日: 平成25年4月11日 / 結論: 破棄差戻
継続的な金銭消費貸借取引に係る基本契約が過払金充当合意(過払金発生当時他の借入金債務が存在しなければ過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意)を含む場合には,別段の合意があると評価できるような特段の事情がない限り,まず過払金について発生した民法704条前段所定の利息を新たな借入金債務に充当し,次いで過…
事件番号: 平成18(受)2268 / 裁判年月日: 平成20年1月18日 / 結論: 破棄差戻
1 同一の貸主と借主との間で継続的に金銭の貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務について利息制限法1条1項所定の利息の制限額を超えて利息として支払われた部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,その後に改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基…
事件番号: 平成20(受)543 / 裁判年月日: 平成21年3月3日 / 結論: 破棄自判
継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約が,借入金債務につき利息制限法1条1項所定の制限を超える利息の弁済により過払金が発生したときには,弁済当時他の借入金債務が存在しなければ上記過払金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意を含む場合は,上記取引により生じた過払金返還請求権の消滅時効は,特段の事情がない限…