判旨
上告審において原審で主張・判断されていない事項を新たに主張することは適法な上告理由とは認められず、これを理由とする再審の訴えも民事訴訟法上の再審事由に該当しない。
問題の所在(論点)
原審で主張していなかった事項を上告審で新たに主張することが認められるか、また、それを排斥した上告判決に対し、再審事由(民訴法338条、旧420条)を認めることができるか。
規範
上告審は事後審であり、原則として原審において主張・判断されていない新たな事実や主張を提出することは許されない。また、上告審がこのような新主張を排斥した判断は正当であり、民事訴訟法第338条(旧420条)各号に定める再審事由には当たらない。
重要事実
再審原告は、昭和34年(オ)第1202号損害賠償請求事件の確定判決に対し、再審の訴えを提起した。再審の理由として、上告審が国税徴収法施行規則14条違反の主張を「原審で主張・判断のない事項を当審において新たに主張するものであり適法な上告理由ではない」と判断したことの不当性等を主張した。
あてはめ
本件において、再審原告が主張する国税徴収法施行規則14条違反の点は、原審までの審理において一切主張も判断もなされていない。上告審がこれを新主張として適法な上告理由ではないとした判断は、事後審の構造に照らし正当である。したがって、当該判断に民事訴訟法が定める再審事由があるとは認められず、その他の理由も適法な再審事由に該当しない。
結論
本件再審請求は、適法な再審事由を備えていないため、却下を免れない。
実務上の射程
上告審における新主張禁止の原則を再審の手続面から確認した判例である。答案上は、上告理由の制限や、再審事由の厳格な解釈が求められる場面で、不適法な上告理由に基づく再審が許されないことの根拠として引用し得る。
事件番号: 昭和32(オ)1152 / 裁判年月日: 昭和35年6月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原判決における証拠の取捨判断や事実認定が適法に行われている場合、それに対する不服申立ては上告理由とならない。また、証拠の解釈が上告人の主張と異なることをもって、証拠の趣旨誤解や審理不尽、理由不備の違法があるとはいえない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決における証拠判断、採証の法則違反、審理不尽…