判旨
商事貸借であっても利息制限法の利息制限規定は適用され、制限を超える利息を元本に組み入れる契約はその超過部分において無効となる。
問題の所在(論点)
商事貸借における利息の元本組み入れ(複利契約)に対し、利息制限法の制限規定が適用されるか。
規範
金銭の消費貸借において、商事に関するものであっても旧利息制限法2条(現行法1条)の適用は排除されない。利息の元本組み入れ(複利契約)がなされた場合であっても、同法の制限を超える利息部分については裁判上その効力を否定すべきである。
重要事実
被上告人が上告人に対し、昭和24年5月に5万円を月利1割の約定で貸し付けた。支払期日に元利金の支払が遅滞したため、同年11月に延滞利息2万円を元金に組み入れ、新元本を7万円とする手形に書き換えて期限を猶予した。原審は商事貸借であることを理由に利息制限法の適用を否定した。
あてはめ
本件で元金に組み入れられた2万円は、損害賠償額の予定ではなく、約定利息の延滞分である。商事貸借であっても利息制限法の利息制限規定(旧法2条)は適用されるため、月利1割という制限超過の利息をそのまま元本に組み入れることは許されない。したがって、制限超過部分の組み入れについてはその効力を否定し、適法な範囲でのみ有効性を認めるべきである。
結論
商事貸借であっても利息制限法の制限規定は適用される。制限を超える利息を元本に組み入れる合意は、超過部分において無効である。
実務上の射程
商人間での貸借であっても利息制限法が強行法規として適用されることを示した基本判例。利息の元本組み入れ(複利)を行う際も、その基礎となる利息自体が同法の制限内に収まっている必要があるという実務上の指針となる。
事件番号: 昭和36(オ)1363 / 裁判年月日: 昭和37年6月21日 / 結論: 棄却
利息制限法を超過した利息を任意に支払つたときは、その超過部分の返還を請求できないものであつて、その際元本が残存するからといつて、これを元本の支払に充てたものとすることはできない。(昭和三五年(オ)第一〇二三号、同三七年六月一三日大法廷判決参照)