利息制限法を超過した利息を任意に支払つたときは、その超過部分の返還を請求できないものであつて、その際元本が残存するからといつて、これを元本の支払に充てたものとすることはできない。(昭和三五年(オ)第一〇二三号、同三七年六月一三日大法廷判決参照)
任意に弁済した利息制限法超過利息の元本充当の有無。
利息制限法1条,利息制限法2条
判旨
利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払った場合、その超過部分は無効であるが、返還を請求することはできない。また、元本が残存している場合であっても、当該超過部分を当然に元本の支払に充当することはできない。
問題の所在(論点)
利息制限法所定の制限を超える利息を任意に支払った場合において、その超過部分の返還請求は認められるか。また、元本が残存する場合に、その超過部分を元本に充当することができるか。
規範
利息制限法の制限を超える利息の支払が任意になされた場合、その超過部分は公序良俗に反し無効となるが、不当利得としてその返還を請求することはできない。また、この場合において、特段の合意がない限り、残存する元本に当然に充当されるものでもない。
重要事実
上告人(被告)は、被上告人(原告)に対し、昭和29年から30年にかけて報酬金名義で金銭を支払った。原審の認定によれば、この支払は実質的には利息として毎月5万円、計50万円の計算でなされたものであった。上告人は、この支払が利息制限法を超過するものであるとして、元本の弁済等に充当されるべき旨を主張して争った。
あてはめ
本件において、上告人が支払った「報酬金」名義の金銭は、その実質が利息制限法の制限を超える利息の支払であると認定される。しかし、このような超過利息の支払が任意になされた以上、法的にはその返還を求めることはできない。さらに、上告人は弁済の抗弁として元本への充当を主張するが、判例の立場に照らせば、元本が残存している状況であっても、支払われた超過利息が当然に元本に充てられる(充当される)ものと解することはできない。したがって、上告人の弁済の主張は認められない。
結論
利息制限法を超過した利息の任意支払は、返還請求ができず、かつ当然には元本に充当されない。したがって、本件上告は棄却される。
実務上の射程
本判決は、いわゆる「充当否定説」を採った昭和30年代の判例群の一つである。その後の大法廷判決(最判昭39.6.24)により、元本残存時には超過利息が当然に元本に充当されるとする「充当肯定説」へと判例変更がなされた。そのため、現在の実務・司法試験においては、本判決の結論(充当否定)ではなく、後の大法廷判決に基づく充当肯定の法理を用いる必要がある点に注意を要する。
事件番号: 昭和42(オ)967 / 裁判年月日: 昭和43年10月29日 / 結論: 棄却
一、債権者と債務者間に数口の貸金債権が存在し、弁済充当の順序について特約が存在する場合において、債務者が利息制限法所定の制限をこえる利息を支払つたときは、右超過部分に対する弁済は、右特約の趣旨に従つて次順位に充当されるべき債務で有効に存在するものに充当されるものと解すべきである。 (反対意見がある) 二、裁判所は、利息…