残存元本に充当されるものと解すべきである(昭和三九年一一月一八日大法廷判決に従つて、昭和三七年六月一三日大法廷判決によつた原判決を破棄した事案)。 (反対意見がある。)
任意に支払われた法定の制限超過の利息損害金は残存元本に充当されるか
利息制限法1条,利息制限法2条,利息制限法4条,民法491条
判旨
利息制限法所定の制限を超えて任意に支払われた利息の制限超過部分は、民法491条により、残存する元本債権に当然に充当される。
問題の所在(論点)
利息制限法所定の制限利率を超える利息が任意に支払われた場合、その制限超過部分は当然に残存元本に充当されるか。
規範
金銭消費貸借契約に基づき、利息制限法所定の制限を上回る利息が任意に支払われた場合、その制限超過部分は、同法の趣旨および民法491条(費用、利息、元本への充当)の規定に照らし、残存する元本が存在する限り、これに当然充当されるものと解する。
重要事実
上告人は、被上告人に対し手形債務(原因債務は金銭消費貸借)を負っていた。上告人は、利息制限法所定の利率を超える利息を任意に支払っていたため、その超過部分が元本に充当されることにより元本債権は消滅したと抗弁した。原審は、任意に支払われた超過利息は当然には元本に充当されないとする旧判例に従い、元本残債務を11万9359円と判定して上告人に支払を命じたため、上告人が上告した。
あてはめ
本件において、原審は制限超過利息の支払事実を認定しながら、元本充当を否定して残存元本額を算定している。しかし、判例(最大判昭39・11・18)の変更により、制限超過部分は民法491条に基づき元本に充当されるべきである。したがって、原審が各支払時期を認定せず、超過分の弁済充当による正確な元本残額を確定しなかったことは、法律解釈の誤りおよび審理不尽に当たる。
結論
制限超過利息は当然に元本に充当される。原判決には充当計算の前提となる事実認定に不備があるため、原判決を破棄し、正確な元本残額を算定させるため本件を原審に差し戻す。
実務上の射程
過払金返還請求や債務整理における引き直し計算の根拠となる極めて重要な判例である。答案上は、制限超過利息の法的性質を論じる際、「公序良俗違反(民法90条)により無効な部分の支払は、債務の弁済としての性質を有するため、民法491条により当然に元本に充当される」という論理構成で用いる。
事件番号: 昭和42(オ)967 / 裁判年月日: 昭和43年10月29日 / 結論: 棄却
一、債権者と債務者間に数口の貸金債権が存在し、弁済充当の順序について特約が存在する場合において、債務者が利息制限法所定の制限をこえる利息を支払つたときは、右超過部分に対する弁済は、右特約の趣旨に従つて次順位に充当されるべき債務で有効に存在するものに充当されるものと解すべきである。 (反対意見がある) 二、裁判所は、利息…