判旨
利息制限法所定の制限を超過して任意に支払った利息について、債務者はその返還を請求する権利を有しない。
問題の所在(論点)
利息制限法所定の制限を超過して支払った利息について、債務者は公序良俗違反や不当利得を理由に返還を求めることができるか。また、その債権をもって相殺することができるか。
規範
利息制限法の制限を超える利息の支払がなされた場合、その超過部分は不当利得として返還を請求することはできない(現行法制定前の判例法理)。
重要事実
上告人は、借受金の利息として利息制限法の制限を超える金員を支払った。その後、上告人は当該超過利息の返還請求権(不当利得返還請求権)を自働債権として相殺の抗弁を主張したが、原審はその前提となる返還請求権を否定した。
あてはめ
上告人は原審において、超過利息を利息として任意に支払ったことを認めている。利息制限法は制限を超える利息の契約を無効とするが、既に任意に支払われた超過利息については、受領者が不当利得として返還すべき義務を負うものではないと解される。したがって、上告人が主張する返還請求権は法的根拠を欠くものである。
結論
制限超過利息の返還請求権は認められないため、これを自働債権とする相殺の抗弁は成立しない。上告棄却。
実務上の射程
本判決は利息制限法(昭和29年法律第13号)施行前の旧法下の判断であるが、後の最大判昭和37年6月13日によって「超過分は元本に充当される」との法理が確立される前の消極的な態度を示す歴史的資料として位置づけられる。現在の司法試験実務においては、特段の事情がない限り昭和37年判決(元本充当説)を基準に論じるべきである。
事件番号: 昭和27(オ)1267 / 裁判年月日: 昭和30年6月28日 / 結論: 破棄差戻
【結論(判旨の要点)】金銭消費貸借において、利息制限法の制限を超える利息を元金からあらかじめ控除するいわゆる利息の天引きが行われた場合、特段の事情がない限り、制限超過利息に相当する部分については金銭消費貸借は成立せず、実際に交付された金額を元本とみなすべきである。 第1 事案の概要:上告人は被上告人から、元金40万円、…