判旨
無尽業法に基づく主務大臣の免許を受けずに営まれた無尽契約であっても、その私法上の効力は否定されず、公序良俗にも反しない。
問題の所在(論点)
免許を受けずに営まれた無尽契約が、取締法規(無尽業法)違反を理由として私法上無効となるか、あるいは公序良俗(民法90条)に反して無効となるか。
規範
行政上の取締規定に違反する行為であっても、直ちにその私法上の効力が否定されるものではない。当該規定の趣旨が公の秩序を維持するための取締りに主眼がある場合、これに違反する契約も、特段の事情がない限り、公序良俗(民法90条)に反して無効となることはない。
重要事実
被上告人が無尽(現在の頼母子講や無尽会社に相当する制度)を業として営んでいたが、無尽業法が定める主務大臣の免許を得ていなかった。この免許を受けずになされた無尽契約の効力が争点となり、上告人は当該契約が法令違反であり、かつ公序良俗に反して無効であると主張した。
あてはめ
仮に被上告人が無尽を業とし、かつ主務大臣の免許を得ていなかったとしても、無尽業法による免許制は行政上の監督を目的とする取締規定である。したがって、これに違反したとしても、直ちに当該無尽契約の私法上の効果が失われるものではない。また、免許を欠くという事実のみをもって、直ちに当該契約が社会秩序に反する(公序良俗違反)と評価することもできない。
結論
免許を得ていない無尽契約であっても、その私法上の効力には影響がなく、有効である。また、公序良俗にも反しない。
実務上の射程
強行法規(取締規定)と私法上の効力の関係を示す典型例である。答案上は、法律の禁止規定に違反する契約の有効性が問われた際、当該規定が「効力規定」か「取締規定」かを区別し、後者の場合は原則として私法上の効力が維持されることを論証する根拠として用いる。
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