判旨
所有権に基づく家屋明渡請求において、原告が真の所有者であるか否か、および所有権を被告に対抗できるか否かは、当事者適格や訴えの利益の問題ではなく、請求権自体の存否に関わる本案の問題である。
問題の所在(論点)
所有権に基づく明渡請求において、原告が真の所有者であることや対抗要件を備えていることが、当事者適格や訴えの利益といった訴訟要件に該当し、裁判所の職権調査事項となるか。
規範
特定の権利義務の存否を確定する給付の訴えにおいては、自らが権利者であると主張する者に当事者適格が認められる。したがって、原告が実際に権利を有しているか、あるいは対抗要件を備えているかという点は、訴訟要件(当事者適格)の問題ではなく、請求の当否を決する本案の問題(権利保護の要件)として扱われる。
重要事実
被上告人(原告)が、上告人(被告)らに対し、所有権に基づき本件家屋の明渡しを求めて提訴した。これに対し、上告人側は、被上告人が真の所有者であるか、あるいはその所有権を被告に対抗できるかという点は、当事者適格または訴えの利益に関わる職権調査事項であると主張して争った。
あてはめ
本件において、被上告人が家屋の所有者であることは第一審以来当事者間に争いがない。原告が権利の帰属主体であるか否かは、その実体法的権利が認められるかという「請求権自体の存否」の問題にほかならない。したがって、これは当事者適格という訴訟の入口の問題ではなく、本案審理において証拠に基づき判断されるべき事項である。ゆえに、職権調査事項には属さず、事実認定の対象となる。
結論
原告が真の所有者であるか、または所有権を対抗し得るかは本案の問題であり、当事者適格の問題ではない。上告を棄却する。
実務上の射程
給付の訴えにおける当事者適格の判断基準(主張自体による当事者適格)を確認した射程の長い判例である。答案上は、当事者適格が問題となる場面で、実体法上の権利の有無は本案の問題であって訴訟要件ではないことを端的に指摘する際に引用すべきである。
事件番号: 昭和27(オ)2 / 裁判年月日: 昭和28年2月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律に基づき、上告理由が法令の解釈に関する重要な主張を含まない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:上告人が民事事件の判決に対して上告を提起したが、その上告理由が「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」の1号から3…