判旨
裁判の迅速を欠いたことが直ちに刑訴法405条の上告理由とはならないことを確認した上で、捜索差押の適法性および自白の任意性を肯定した。
問題の所在(論点)
裁判の迅速を欠くことが、刑事訴訟法405条の上告理由(特に憲法違反等)に該当するか。
規範
憲法37条1項の保障する「迅速な裁判」を受ける権利について、裁判の遅延そのものは直ちに刑事訴訟法405条所定の上告理由には当たらない。
重要事実
被告人が捜索差押許可状に基づく捜索差押の違法性、および司法警察員に対する自白が強制によるものであると主張して上告した事案。また、裁判が迅速を欠いたことも上告理由として主張された。
あてはめ
本件における捜索差押は適法であり、自白についても強制を疑うに足りる証跡は記録上発見できない。また、裁判の迅速に関する主張については、当裁判所の累次の判例に照らし、上告理由にならないことが明らかである。
結論
本件捜索差押は適法であり、自白の任意性も認められる。裁判の迅速を欠くことは上告理由とならず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
裁判の遅延が顕著な場合でも、それのみを理由に刑訴法405条の上告理由を構成することは困難であるとする実務上の準則を示す。憲法37条1項の「迅速な裁判」の侵害を主張する際の限界を示す判例である。
事件番号: 昭和29(あ)1116 / 裁判年月日: 昭和29年6月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判が迅速を欠き憲法37条1項に違反したとしても、それが判決に影響を及ぼさないことが明らかである場合には、原判決を破棄すべき理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が上告審において、原審までの裁判手続が迅速を欠き、憲法37条1項に違反している旨を主張した。なお、具体的な遅延の期間や経過、事件の…