判旨
裁判が迅速を欠いたとしても、それだけで当然に原判決を破棄すべき理由にはならない。
問題の所在(論点)
裁判の迅速(憲法37条1項)が欠如した場合に、それが直ちに原判決の破棄理由(刑事訴訟法上の上告理由)となるか。
規範
憲法37条1項が保障する裁判の迅速が害された場合であっても、直ちに原判決に影響を及ぼしたとは認められない限り、刑事訴訟法上の控訴理由や上告理由を構成するものではない。
重要事実
被告人が量刑不当等を理由に上告した事案において、弁護人は裁判が迅速を欠いたことが憲法に違反し、原判決の破棄事由に当たると主張した。
あてはめ
本件において、裁判が迅速を欠いた事実があったとしても、そのことが原判決の判断内容そのものに影響を及ぼしたとは認められない。したがって、適法な破棄事由としての実質を欠いていると評価される。
結論
裁判が迅速を欠いたとしても、原判決に影響を及ぼしたと認められない限り、原判決破棄の理由とはならない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
裁判の遅延を理由に判決を争う場合、単に期間が長いことを主張するだけでは足りず、それが判決の結果にどう影響したか、あるいは免訴等の手続的救済が必要なほどの異常な遅延であるかを論じる必要がある(後に高田事件判決等で具体化される法理の先駆的判断)。
事件番号: 昭和27(れ)133 / 裁判年月日: 昭和27年10月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判が迅速を欠く場合であっても、それを理由として直ちに原判決を破棄し、救済を求めることはできない。 第1 事案の概要:被告人が刑事裁判において、裁判の進行が遅延し迅速を欠いたことを理由に、原判決の破棄を求めて上告した事案である。 第2 問題の所在(論点):裁判の遅延(迅速な裁判の原則への抵触)が、…