判旨
裁判が迅速を欠く場合であっても、それを理由として直ちに原判決を破棄し、救済を求めることはできない。
問題の所在(論点)
裁判の遅延(迅速な裁判の原則への抵触)が、刑事訴訟法上の控訴・上告理由、特に原判決を破棄すべき事由に該当するか。
規範
裁判が迅速を欠く事態に至ったとしても、そのこと自体は、刑事訴訟法上の原判決破棄理由を構成しない。
重要事実
被告人が刑事裁判において、裁判の進行が遅延し迅速を欠いたことを理由に、原判決の破棄を求めて上告した事案である。
あてはめ
最高裁判所は、過去の累次の判例(昭和23年12月22日大法廷判決等)を引用した上で、裁判が迅速を欠いた事実は原判決破棄の理由にはならないと判断した。本件においても、遅延の具体的事情や程度に関わらず、手続上の遅延のみをもって判決の効力を否定することはできないとされる。
結論
裁判の遅延は原判決の破棄理由とはならないため、本件上告は棄却される。
実務上の射程
憲法37条1項の「迅速な裁判」をめぐる議論において、本判決は「遅延のみを理由とした破棄」を否定する初期の立場を示す。ただし、その後の「高田事件」大法廷判決(昭和47年12月20日)により、異常な遅延がある場合には免訴を認める道が開かれたため、答案上は現在の判例法理(免訴の可否)の前提として理解すべきである。
事件番号: 昭和27(あ)2434 / 裁判年月日: 昭和27年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判が迅速を欠いたとしても、それだけで当然に原判決を破棄すべき理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が量刑不当等を理由に上告した事案において、弁護人は裁判が迅速を欠いたことが憲法に違反し、原判決の破棄事由に当たると主張した。 第2 問題の所在(論点):裁判の迅速(憲法37条1項)が欠如した場…