判旨
食糧管理法9条の規定は、公共の福祉を維持するために設けられたものであり、憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
食糧管理法9条(食糧の強制買上げ・配給統制等に関する規定)が、公共の福祉による制限として合憲か。
規範
特定の経済活動を制限する法令の合憲性は、その制限が「公共の福祉」を維持するために必要かつ合理的な範囲内にあるか否かによって判断される。
重要事実
被告人らは食糧管理法違反等の罪に問われ、有罪判決を受けた。これに対し、被告人側は同法9条の規定が憲法36条(拷問及び残虐な刑罰の禁止)やその他の憲法規定に違反し、量刑も不当であるとして上告した。なお、具体的な犯行事実は判決文からは不明である。
あてはめ
食糧管理法9条は、戦後の食糧不足という社会状況下において、国民の食糧を確保し、生活の安定を図るという「公共の福祉」を維持するために設けられたものである。このような目的のために経済的自由を制限することは、合理的な範囲内の規制といえる。また、量刑不当や原審で主張していない憲法違反の主張は、刑訴法405条所定の適法な上告理由には当たらない。
結論
食糧管理法9条は公共の福祉を維持するための規定であり合憲である。被告人らの上告は棄却される。
実務上の射程
経済的自由権(憲法22条、29条等)の制限が「公共の福祉」を理由として肯定される典型的な初期判例である。現代の答案作成においては、単に「公共の福祉」とするだけでなく、規制の目的(積極的・消極的)や手段の合理性を検討する際の基礎的な考え方として参照される。
事件番号: 昭和28(あ)1806 / 裁判年月日: 昭和28年9月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】食糧管理法による経済活動の制限は、公共の福祉のために必要な制限であり、憲法に違反しない。過去の大法廷判決の趣旨に照らし、同法の違憲性を主張する上告は理由がない。 第1 事案の概要:被告人が食糧管理法違反で起訴された事案において、弁護人は同法が憲法の各条規に違反する旨を主張して上告した。原審の判断や…