少年法第五〇條の規定は、なるべく同九條の趣旨に從つて審理を行うべき旨の訓示的規定である。
少年法第五〇條は訓示的規定である
少年法50條,少年9條
判旨
憲法37条1項による迅速な裁判の保障に反する程度の審判の遅延があったとしても、判決が最終公判期日の口頭弁論に基づき、その時点の諸事情を参酌してなされたものであれば、審理不尽等の違法があるとはいえない。
問題の所在(論点)
審判が相当期間遅延した場合において、その遅延のみをもって、判決が時の経過に伴う諸般の事情の変化を反映していない審理不尽の違法(憲法37条1項違反、少年法上の訓示規定違反)を構成するか。
規範
裁判が迅速に行われなかったとしても、判決がその言渡しに接着する最終公判期日の口頭弁論に基づいてなされたものである限り、当該時点における諸般の事情が参酌されていると解される。したがって、単に審判が遅延したという事実のみをもって、時の経過に伴う事態の変化を看過した審理不尽の違法があるとは認められない。
重要事実
被告人らが少年法等の適用を受ける事案において、原審の審判手続きが迅速であったとはいえない程度の期間を要した。弁護人は、この審判の遅延が憲法37条1項の迅速な裁判の保障に反し、時の経過に伴う事態の変化を無視した審理不尽の違法(少年法50条・9条等の趣旨に反する違法)があると主張して上告した。
あてはめ
原判決は、その言渡しに接着する最終公判期日における口頭弁論に基づきなされたものであることが明らかである。この場合、裁判所は当然に最終口頭弁論時における諸般の事情を参酌して判断を下したものといえる。したがって、審判が遅延したという一事をもって、原判決が時の経過に伴う事態の変化に対して無感覚であった、あるいは審理不尽の違法があったと断ずることはできない。
結論
審判の遅延があったとしても、最終口頭弁論に基づき判断がなされている以上、審理不尽の違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
憲法37条1項違反の主張に対し、審理不尽や少年法上の審理態勢(訓示規定)を絡めて争う際の防衛線として機能する。被告人側としては、単なる時間の経過だけでなく、具体的に「どの事実が看過されたか」まで踏み込まない限り、本判例の論理によって審理不尽の主張は排斥されることになる。
事件番号: 昭和27(あ)2434 / 裁判年月日: 昭和27年11月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判が迅速を欠いたとしても、それだけで当然に原判決を破棄すべき理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が量刑不当等を理由に上告した事案において、弁護人は裁判が迅速を欠いたことが憲法に違反し、原判決の破棄事由に当たると主張した。 第2 問題の所在(論点):裁判の迅速(憲法37条1項)が欠如した場…