判旨
退職規程に他の適切な条項がない限り、客観的に解雇に準ずべき事由がある場合には、規程上の「会社の都合により解雇したるとき」に該当または準ずるものとして退職金額を算定すべきである。
問題の所在(論点)
退職金規程上の「会社の都合により解雇したるとき」という要件を、実質的に解雇と同視できる状況に適用できるか。また、雇用関係の終了時期が退職金算定に与える影響が問題となった。
規範
退職金規程の解釈において、特定の退職事由(「会社の都合による解雇」等)への該当性は、規程内に他に適用すべき適切な条項がない限り、実質的に当該事由に相当するか、あるいはこれに準ずべき状態にあるか否かによって判断する。
重要事実
上告人(会社)の元従業員である被上告人が、退職金の支払いを求めて提訴した事案。会社側は、被上告人の退職が「会社都合」には当たらないと主張した。原審は、昭和23年1月末日をもって雇用関係が終了したと認定し、その際の退職事由を「会社の都合により解雇したるとき」に該当すると判断した。これに対し会社側が、退職事由の認定や雇用終了時期の解釈に誤りがあるとして上告した。
あてはめ
本件では、退職規程に他に適切な条項が見当たらない。被上告人は昭和23年2月から欠勤しており、本件訴状送達後には雇用関係が存続していないことに争いがない。また、当該期間において給与額に変動がなかったことも認められる。このような状況下では、実質的に「会社の都合により解雇したるとき」に準ずるものと解するのが相当である。在職期間の算定においても、雇用主にとって計算上の不利益は生じないため、原審の判断は妥当である。
結論
本件退職事由は規程上の「会社の都合により解雇したるとき」に該当または準ずるものと認められ、それに基づき算定された退職金請求を認容した原判決は正当である。
実務上の射程
就業規則や退職金規程の文言解釈において、形式的な文言のみならず、実質的な態様が当該条項の趣旨に合致するかという観点から「準用」に近い解釈を認める余地を示している。実務上は、自己都合か会社都合かが争われる事案において、規程の全体構造を考慮した上で実質的な利益状況に基づきあてはめる際の指針となる。
事件番号: 昭和49(オ)715 / 裁判年月日: 昭和49年11月8日 / 結論: 棄却
賃金に該当する退職金の請求権は、労働基準法一一五条に基づき二年間これを行使しないことにより時効消滅する。
事件番号: 昭和60(オ)728 / 裁判年月日: 平成元年9月7日 / 結論: その他
就業規則に退職金は支給時の退職金協定によると定められている場合、右就業規則を補充するものとして所轄労働基準監督署長に届け出られた退職金協定の支給基準は、就業規則の一部となつているものであつて、退職金協定が有効期間の満了により失効しても当然には効力を失わず、退職金協定の失効後に退職し適用すべき協定のない労働者については、…