判旨
本案訴訟について日本の裁判所に裁判権がない場合、その裁判に関与する裁判官に対する忌避の申立てについても裁判権は認められず、裁判所は申立書を却下すべきである。
問題の所在(論点)
本案訴訟について日本の裁判権が及ばない場合、その派生的な申立てである裁判官の忌避の申立てについて裁判権が認められるか、および裁判所はどのような措置をとるべきか。
規範
本案訴訟について日本の裁判所に裁判権が認められない場合には、付随的な手続である当該訴訟の担当裁判官に対する忌避の申立てについても、当然に裁判権は認められない。このような申立てを受けた裁判所は、不適法な申立てとして命令をもって申立書を却下すべきである。
重要事実
抗告人は、法務総裁が行った解散団体の財産管理等に関する指定の取消しを求めて東京地方裁判所に提訴し、あわせて当該訴訟に関与する裁判官の忌避を申し立てた。しかし、当該本案訴訟(政令に基づく処分の取消請求)については、当時の連合国最高司令官の権限等に照らし、日本の裁判所に裁判権がないとするのが判例(最大判昭25.7.5)であった。
あてはめ
本件における本案訴訟である法務総裁の処分取消請求は、先行判例によれば日本の裁判所に裁判権がないことが明らかである。忌避の申立ては本案訴訟の適正な裁判を担保するための付随的手続であるから、本案自体に裁判権がない以上、これに附随する忌避の申立てについても日本の裁判権は及ばない。したがって、第一審および第二審が忌避の申立てを有効なものとして取り扱ったのは誤りであり、裁判所は直ちに申立書を却下すべきである。
結論
本件忌避の申立てには裁判権が認められないため、原決定を取り消し、申立書を却下する。
実務上の射程
事件番号: 昭和25(ク)66 / 裁判年月日: 昭和25年7月28日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】本案訴訟について日本の裁判所に裁判権がない場合には、その訴訟に関与する裁判官に対する忌避の申立てについても同様に裁判権が及ばず、裁判長は命令をもって当該申立てを却下すべきである。 第1 事案の概要:抗告人らは、団体等規正令等に基づき法務総裁が行った団体の指定および退去引渡命令の取消しを求めて東京地…
裁判権(国際裁判管轄等を含む)が欠如する場合、本案のみならず忌避のような付随的申立てについても裁判権が否定されることを示した。民事訴訟法上の「訴え却下」ではなく、申立書そのものの却下を命じている点に注意が必要である。
事件番号: 昭和25(ク)50 / 裁判年月日: 昭和25年7月21日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】本案訴訟について日本の裁判所の裁判権が及ばない場合には、当該訴訟に関与する裁判官に対する忌避の申立てについても裁判権は及ばない。裁判所は、このような裁判権を欠く忌避申立てに対し、決定をもって申立書を却下すべきである。 第1 事案の概要:抗告人らは、法務総裁が団体等規正令に基づき行った指定の取消しを…
事件番号: 昭和25(ク)42 / 裁判年月日: 昭和25年6月12日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が民事事件の抗告について裁判権を有するのは、法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかの判断を不当とする場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人等が、最高裁判所に対して抗告を申し立てた事案。抗告人が主張した抗告理由は、原決定における憲法判断の不当性を指摘するものではなかった。…
事件番号: 昭和25(ク)45 / 裁判年月日: 昭和25年6月27日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が下した決定に対しては、民事訴訟法上の規定の有無にかかわらず、さらに抗告を申し立てることは許されない。 第1 事案の概要:抗告人は、最高裁判所が下した決定に対し、旧民事訴訟法419条の2(現在の特別抗告等に相当する規定)を根拠として、さらに抗告を申し立てた。 第2 問題の所在(論点):最…
事件番号: 昭和28(ク)179 / 裁判年月日: 昭和28年9月4日 / 結論: 却下
【結論(判旨の要点)】最高裁判所が抗告に関して裁判権を有するのは、訴訟法において特に最高裁判所への抗告申立てが許容されている場合に限定される。 第1 事案の概要:抗告人等は、最高裁判所に対して抗告を申し立てた。当該申立ては、抗告申立書の記載自体から、民事訴訟法(旧法)413条に基づくものであることが明らかであった。 第…