判旨
抗告裁判所が下した決定に対しては、刑訴法433条に基づく特別抗告をなしうるに留まり、当該高等裁判所に対して重ねて異議の申立てをすることはできない。
問題の所在(論点)
抗告裁判所がなした抗告棄却の決定に対し、当該裁判所に対してさらに「異議の申立て」を行うことが許されるか。刑事訴訟法上の不服申立体系が問題となる。
規範
抗告裁判所の決定に対する不服申立てについては、刑事訴訟法433条(特別抗告)の規定が適用されるべきであり、同法427条や428条等の趣旨に照らし、同一の裁判所に対して異議を申し立てることは許されない。
重要事実
抗告人が申し立てた起訴請求事件について、東京高等裁判所は昭和28年4月21日に抗告棄却の決定を下した。抗告人はこの決定を不服とし、原審である同高等裁判所に対してさらに異議の申立てを行ったが、原審はこれを認めず棄却した。抗告人は、この原決定が憲法12条に違反すると主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
刑事訴訟法は、裁判所の決定に対する不服申立手段を体系的に整備している。抗告裁判所(本件では高等裁判所)が下した決定に対しては、憲法違反等を理由とする法433条の特別抗告が用意されている。一方で、法427条や428条の規定に徴すれば、抗告裁判所の判断そのものに対して当該裁判所に異議を申し立てる制度は予定されていない。したがって、抗告人が行った異議申立ては不適法な不服申立てといえる。
結論
抗告裁判所の決定に対する異議申立てを認めなかった原決定に憲法違反はなく、本件特別抗告は棄却されるべきである。
実務上の射程
刑事手続における不服申立制度の排他性を確認した事例である。裁判所の決定に対する不服申立てについては、法律が定める明文の経路(抗告、再抗告、特別抗告、または特定の決定に対する異議)に限定され、それ以外の独自形式による重ねての不服申立ては許されないという実務上の原則を示すものとして引用できる。
事件番号: 昭和33(し)57 / 裁判年月日: 昭和33年8月28日 / 結論: 棄却
高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては刑訴法第四二七条によつて再抗告ができないのであるから、同四二八条二項三項は適用の余地がない。
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
事件番号: 昭和45(し)89 / 裁判年月日: 昭和45年11月18日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑訴法433条に基づく特別抗告において、実質的に原決定の不当を主張するにとどまり、憲法違反の具体的根拠を示さないものは、適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は、被疑者らに対する公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不起訴処分を不服として付審判請求を行った。第一審及び抗告審が…
事件番号: 昭和28(し)100 / 裁判年月日: 昭和29年2月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項及び3項の異議申立てを認める余地はなく、かかる不適法な申立ては特別抗告の対象となり得ない。 第1 事案の概要:申立人は、大分地裁による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高裁から期間経…
事件番号: 昭和28(し)104 / 裁判年月日: 昭和29年4月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】高等裁判所が抗告審としてした決定に対しては、刑事訴訟法427条により再抗告ができないため、同法428条2項および3項の異議申立ての規定を適用する余地はなく、当該異議申立ては不適法である。 第1 事案の概要:申立人は、大分地方裁判所による再審請求棄却決定に対し即時抗告をしたが、福岡高等裁判所は即時抗…