判旨
刑事訴訟法262条1項に基づく付審判請求の対象は、同法262条が準用する刑法等の特定の罪に限られる。また、特別抗告の理由は同法433条に基づき憲法違反または憲法解釈の誤りに限定され、単なる事実認定の不当を争うことは許されない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法262条1項に基づく付審判請求において、対象犯罪以外の事実を理由とすることができるか。また、原決定の事実認定の不当を理由として、同法433条の特別抗告を申し立てることができるか。
規範
刑事訴訟法433条に基づく特別抗告は、原決定に憲法の違反があること、または憲法の解釈に誤りがあることを理由とする場合に限られる。また、同法262条1項に基づく審判の請求(付審判請求)は、同条が規定する対象犯罪に限定され、それ以外の事実を理由とする請求は適法な理由となり得ない。
重要事実
抗告人は、Aらが暴行凌虐行為に及んだこと、および食糧を不法に領得したことを理由として、刑事訴訟法262条1項に基づく審判の請求(付審判請求)を行った。原裁判所は、暴行凌虐の事実は認められず、また食糧の不法領得については同条の審判請求の対象に含まれないとして、請求を棄却する決定を下した。これに対し、抗告人は事実認定の誤りを主張して特別抗告を申し立てた。
あてはめ
まず、食糧の不法領得については、刑事訴訟法262条1項の規定に照らし、同条に基づく審判請求の対象とはなり得ない。次に、原決定はAらによる暴行凌虐の事実がなかったと認定しており、これは単なる事実の有無に関する判断であって、憲法上の判断を含まない。したがって、抗告人が単に暴行行為の存在を主張して事実認定を争うことは、憲法違反等を理由とする特別抗告の適法な理由に該当しないと解される。
結論
本件付審判請求は不適法であり、かつ特別抗告の理由も憲法違反等を基礎付けるものではないため、本件特別抗告は棄却される。
事件番号: 昭和57(し)26 / 裁判年月日: 昭和57年3月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】最高裁判所に対する特別抗告(刑訴法433条)は、対象となる決定又は命令に対し、法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、原決定に対し、刑訴法419条および421条に基づき、高等裁判所に対して通常の抗告をすることが可能な状況にあった。しかし、申立人は通…
実務上の射程
付審判請求の対象犯罪(公務員職権濫用罪等)の限定性を確認する。答案上は、特別抗告の理由が憲法問題に限定されること、および準起訴手続きの対象が法律上厳格に規定されていることを論述する際の根拠となる。
事件番号: 昭和43(し)25 / 裁判年月日: 昭和43年5月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく特別抗告において、憲法違反を主張する場合には、原決定のいかなる点がどのように憲法条項に違反するかを具体的に主張しなければならず、抽象的な主張に留まるものは適法な抗告理由にあたらない。 第1 事案の概要:申立人は、自身が告訴した公務員職権濫用被疑事件について検察官がなした不…
事件番号: 昭和53(し)43 / 裁判年月日: 昭和53年6月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告において、抗告申立書に具体的な理由の記載がなく、かつ抗告期間内に理由書が提出されない場合には、申立は不適法として棄却される。 第1 事案の概要:申立人らは、原決定に対し特別抗告を申し立てた。申立書には「抗告理由の詳細は近く抗告理由書を提出するが、要するに刑訴法405条、411条所定事由を理…
事件番号: 昭和26(し)33 / 裁判年月日: 昭和27年2月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】検察官による移監措置に対する不服申し立てについて、憲法違反を主張する場合であっても、その実質が単なる措置への非難に留まるものは刑事訴訟法405条の事由に該当せず、特別抗告は棄却される。 第1 事案の概要:抗告人は、検察官が行った自らに対する移監措置について、憲法違反を主張して特別抗告を申し立てた。…
事件番号: 昭和46(し)29 / 裁判年月日: 昭和46年5月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法433条に基づく最高裁判所への特別抗告は、その対象となる決定又は命令に対して同法上他に不服を申し立てることができない場合に限り許容される。 第1 事案の概要:申立人は、高等裁判所が下した原決定に対し、刑事訴訟法419条及び421条に基づき、当該高等裁判所に対して通常の抗告を申し立てること…