判旨
被告人が主張する事実関係が原審によって認められない以上、前提となる統制の撤廃といった事情も認められず、刑訴法411条5号(刑の廃止)には当たらない。
問題の所在(論点)
刑訴法411条5号(刑の廃止)の適用の成否、および上告理由とならない事実誤認等の主張が同条の職権破棄事由に該当するか。
規範
刑事訴訟法411条5号の「判決後の刑の廃止」に該当するか否かは、前提となる事実関係(本件では統制が撤廃されたとされる対象物の特定)が確定していることを要する。
重要事実
被告人が統制の撤廃された「特綿糸」の取引を主張して上告したが、第一審判決において本件綿糸が特綿糸である事実は認められていなかった。被告人は第一審の事実誤認や量刑不当を主張するとともに、統制撤廃による刑の廃止を主張した事案である。
あてはめ
本件綿糸が「特綿糸」である事実は第一審判決で認められていない。したがって、特綿糸の統制が撤廃されたとしても、本件の対象について統制が撤廃された(刑が廃止された)事実は認められない。また、事実誤認や量刑不当の主張は適法な上告理由に当たらない。
結論
本件綿糸について統制が撤廃されたとは認められないため、刑訴法411条5号には当たらず、上告を棄却する。
実務上の射程
法令の改廃による刑の廃止を主張する場合、その前提となる客観的事実が確定している必要があることを示す。実務上は、単なる事実誤認の主張を職権破棄事由へと結びつける際の限界を確認する例として参照される。
事件番号: 昭和25(あ)404 / 裁判年月日: 昭和25年10月26日 / 結論: 棄却
一 昭和二四年一〇月二五日人絹糸が指定生産資材から除外されたことは所論のとおりである。しかし、人絹糸が将来に向つて統制から解除されたからといつて、既往においてその統制に違反し成立した犯罪の刑を廃止したと解すべき何等の理由も存しない。 二 判決において認定された犯罪事実は、単にいわゆる事実摘示の部分に局限して故らに狭く理…
事件番号: 昭和25(あ)406 / 裁判年月日: 昭和25年10月17日 / 結論: 棄却
本件において第一審判決は適用法令として臨時物資需給調整法第一条、第四条、衣料品配給規則第五条を掲げているが、同規則にいわゆる衣料品とは、その第一条第二項に基いて昭和二二年九月一〇日商工省告示第五八号によつて指定されているのであるから、臨時物資需給調整法の罰則を適用するには、衣料品配給規則第五条のほかに右告示第五八号を掲…
事件番号: 昭和26(れ)2210 / 裁判年月日: 昭和27年2月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認および量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決に事実誤認および量刑の不当があるとして、刑事訴訟法405条に基づき上告を申し立てた。なお、事案の具体的な犯罪事実の詳細は判決文からは不明である。 第2 問題の所在(論点):事実誤認および量…
事件番号: 昭和26(れ)1129 / 裁判年月日: 昭和26年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣意に刑事訴訟法405条所定の事由が認められず、また同法411条を適用して原判決を破棄すべき顕著な正義に反する事由も存在しない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対して上告を申し立てた事案。本件判決文の記載からは、具体的な犯罪事実や第一審・控訴審の判断…
事件番号: 昭和26(れ)595 / 裁判年月日: 昭和26年8月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認および量刑不当の主張は、刑事訴訟法上の適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:上告人が、原審の認定していない事実(証明書の下附等)を前提として事実誤認を主張するとともに、量刑が不当であるとして上告を申し立てた事案。 第2 問題の所在(論点):事実誤認および量刑不当の主張が、刑事訴…