憲法第三七條第一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつ裁判所の裁判を意味するものであつて、個々の事件について具體的に構成妥當な裁判を指すものではない(昭和二三年六月九日言渡昭和二二年(れ)第一三八號事件參照)。從つて、假りに、所論のように言渡された刑が他の同種内容の事件と比較して著しく重くその權衡を失するとしても、これを以て右憲法の規定に違反するものと解することはできない。
憲法第三七條第一項にいわゆる「公平な裁判所の裁判」の意義
憲法37條1項
判旨
憲法37条1項の「公平な裁判所」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつ裁判所を意味し、個々の事件における具体的・実質的な判断の妥当性を指すものではない。
問題の所在(論点)
刑の量定が他の同種事件と比べて著しく重く権衡を失する場合に、憲法37条1項の「公平な裁判所の裁判」を受ける権利を侵害したといえるか。
規範
憲法37条1項にいう「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつ裁判所の裁判を意味する。個々の事件について具体的に公正妥当な裁判を指すものではない。
重要事実
被告人が受けた判決の刑の量定について、他の同種内容の事件と比較して著しく重く、その権衡を失するものであるとして、憲法37条1項の「公平な裁判所」による裁判ではない旨を主張して上告した。
事件番号: 昭和26(れ)1437 / 裁判年月日: 昭和27年2月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所の裁判」とは、偏頗や不公平のおそれのない組織と構成をもつ裁判所による裁判を意味する。 第1 事案の概要:被告人が物価統制令違反等に問われた事案において、弁護人は、原判決が憲法25条(生存権)や憲法37条1項(公平な裁判所の裁判を受ける権利)に違反する旨を主張し…
あてはめ
憲法37条1項は、裁判所の組織・構成の客観的な公平性を担保する趣旨である。本件において、仮に量定された刑が他の同種事件と比較して著しく重いとしても、それは原審の専権に属する事実認定および量刑の問題にすぎない。裁判所の組織や構成自体に偏頗や不公平のおそれがあるとはいえないため、同条項違反の問題は生じない。
結論
憲法37条1項違反には当たらない。上告棄却。
実務上の射程
憲法37条1項の「公平な裁判所」の定義(組織・構成の公平性)を示すリーディングケースである。量刑不当や事実誤認などの実質的内容の不当性を同条項違反として争うことはできないことを明確にしている。答案上は、裁判官の除斥・忌避や裁判員の選任手続、あるいは裁判の公開との関連で「公平な裁判所」を定義する際の規範として活用する。
事件番号: 昭和26(れ)525 / 裁判年月日: 昭和26年7月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項にいう「公平な裁判所」とは、裁判所の組織・構成において偏頗のない裁判所を意味し、具体的な量刑の不当のみをもって直ちに同条違反となるものではない。 第1 事案の概要:上告人は、原判決の量刑が不当であることを理由に、かかる裁判は憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」による裁判ではないと…
事件番号: 昭和28(あ)5393 / 裁判年月日: 昭和29年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法37条1項が保障する「公平な裁判所」とは、裁判所の構成において偏頗(へんぱ)のおそれがない裁判所を意味する。 第1 事案の概要:被告人Aを含む数名の被告人が、事実誤認や量刑不当を理由に上告。その際、弁護人は裁判所の構成等に関連して憲法37条1項違反を主張したが、これまでの最高裁判例が示す「公平…