原審が被告人の數回に亘る行爲に對し刑法第五五條を適用處斷したのは違法であると主張する論旨は、たといその數回に亘る行爲が昭和二二年一一月一五日以後のものであるため刑法第五五條を適用したことが眞實違法である場合でも、被告人に不利益な主張であるから、上告の理由として採用することができない。
被告人に不利益な主張と上告理由
改正前の刑法55條,舊刑訴法409條
判旨
被告人の利益のために認められた上告制度において、被告人に不利益な結果をもたらす主張は上告の理由として採用できない。
問題の所在(論点)
被告人のした数個の行為を連続犯(一罪)と認定した原判決の違法を主張することが、結果として併合罪(数罪)としての処断を求めることになり、被告人に不利益となる場合、これを上告理由として主張できるか。
規範
上告審において、原判決の法令違反を主張する場合であっても、その主張が認められることによって被告人に不利益な結果(併合罪としての処断等)を招くことが明らかであるときは、被告人側からの上告理由として採用することはできない。
重要事実
被告人が数回にわたって精米五俵を買い受けた行為に対し、原審は連続犯(旧刑法55条)を適用して一罪として処断した。これに対し弁護人は、当該行為を連続犯と認めたのは違法であるとして上告を申し立てた。
事件番号: 昭和26(あ)2660 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: 棄却
原判決が第一審判決において被告人の判示行為を一罪として処断したことは正当であると判断したのに対し、これを数罪として処断すべきであると主張するものであつて、それが被告人に不利益な主張であることは明かであるから、上告理由としてこれを主張することは許されない。
あてはめ
弁護人の主張は、連続犯の適用を違法とするものであるが、その主張が認められれば反面的に当該行為を併合罪として処断すべきこととなる。併合罪は連続犯よりも刑が重くなる可能性があり、被告人にとって不利益な主張に帰する。上告制度は被告人の利益保護を目的とするものであるから、このような不利益な主張は失当であるといえる。
結論
本件上告は、被告人に不利益な主張を含むため理由がないものとして棄却される。
実務上の射程
上告審における不利益変更禁止の原則や、被告人側からの上告理由の制限を論じる際に参照される。特に、罪数評価の誤りを主張する際に、一罪から数罪への変更(または軽い罪から重い罪への変更)を求める主張が被告人側からなされた場合の適否を判断する枠組みとして機能する。
事件番号: 昭和24(れ)2736 / 裁判年月日: 昭和26年1月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】旧刑事訴訟法下において、原判決の量刑不当を主張することは適法な上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人が原判決の量刑が不当であるとして上告を申し立てた。なお、その他の具体的な事実関係については判決文からは不明である。 第2 問題の所在(論点):刑事訴訟法上、原判決の量刑が不当であることを理…
事件番号: 昭和26(れ)1174 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、上告適法の理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が犯した罪の量刑が重すぎるとして、弁護人が上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):量刑不当の主張が、法的に適法な上告理由として認められるか。 第3 規範:上告審において量…