係争土地の地上権者は、境界確定訴訟の当事者適格を有しない。
地上権者と土地境界確定訴訟の当事者適格
民訴法45条,民法265条
判旨
土地境界確定の訴えにおける当事者適格は、相隣接する係争土地について処分権能を有する者に限られ、地上権者はこれに含まれない。
問題の所在(論点)
土地境界確定の訴えにおいて、所有権者ではなく、単に地上権を有するにすぎない者が当事者適格を有するか。
規範
土地境界確定の訴え(境界確定訴訟)の当事者適格は、相隣接する係争土地につき処分権能を有する者に認められる。したがって、当該土地について処分権能を有しない者は、土地境界確定の訴えの当事者となることはできない。
重要事実
上告人は、相隣接する係争土地について、自己が地上権を有していると主張して土地境界確定の訴えを提起した。これに対し、原審は上告人が係争土地の所有権(処分権能)を有しておらず、地上権を主張するにすぎないことを理由に、当事者適格を欠くと判断した。上告人は、地上権者であっても境界確定の訴えを提起できると主張して上告した。
あてはめ
事件番号: 昭和40(オ)654 / 裁判年月日: 昭和41年10月21日 / 結論: 棄却
地盤上に植栽された立木の所有権を取得した者は、明認方法等の対抗要件を備えないかぎり、右地盤(土地)を地上の右立木とともに買いうけ右土地についてその所有権移転登記を経由した第三者に対し、前記立木所有権取得を対抗することができない。
土地境界確定の訴えは、公法上の境界(筆界)を確認する訴訟であり、その性質上、隣接する土地の範囲を画定させるものである。本件において、上告人が主張している権利は地上権という制限物権にすぎず、土地そのものを処分し得る権能(所有権等)を有しているとは認められない。処分権能を有しない者が提起した境界確定の訴えは、当事者適格を欠く不適法なものといえる。
結論
地上権を主張するにすぎない者は土地境界確定の訴えの当事者適格を有しないため、本件訴えは不適法として棄却される。
実務上の射程
境界確定訴訟(筆界確定訴訟)の当事者適格が「所有権者」に限定されることを明確にした判例である。答案上では、賃借人や地上権者による境界確定の訴えの可否が問われた際、本判例を根拠に処分権能の有無で当事者適格を否定する論法として用いる。なお、所有権に基づく境界確認(所有権の範囲の確認)の訴えであれば、地上権者等も原告となり得る点との対比に注意が必要である。
事件番号: 昭和28(オ)620 / 裁判年月日: 昭和29年8月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】他人の代理人であることを示さず、他人の物を自己の物として売却した場合であっても、所有者が予めその処分行為を承諾していれば、当該売買は有効であり、買受人は直ちに所有権を取得する。 第1 事案の概要:上告人(所有者)は、訴外Dに対し、本件立木について「Dの手において自ら他に売却すること」を委ねる旨の合…
事件番号: 昭和32(オ)325 / 裁判年月日: 昭和35年3月1日 / 結論: 棄却
地盤所有権の取得につき未登記のままその地盤上に植栽した立木の所有権を、第三者に対抗するには、公示方法を必要とする。
事件番号: 昭和32(テ)27 / 裁判年月日: 昭和33年5月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】準禁治産者が上告の申立てを行うには保佐人の同意を要し、裁判所の命じた期間内にその欠缺を補正しない場合は、上告は不適法として却下される。 第1 事案の概要:上告人は旧民法下の準禁治産者(現在の被保佐人に相当)であった。上告人は本件訴訟において上告の申立てを行ったが、これについて保佐人の同意を得ていな…