判旨
再売買契約に基づき特定の期日までに土地を売り渡す等の法律関係の確認を求める訴えにおいて、その期間が経過した場合には、当該法律関係は過去のものに属するため、確認の利益を欠く。
問題の所在(論点)
特定の期日までに権利を行使すべき旨の再売買契約に基づく法律関係について、その期間が経過した後に当該法律関係の確認を求める訴えに、確認の利益(確認の訴えの対象適格)が認められるか。
規範
確認の訴えにおける確認の利益が認められるためには、対象となる権利又は法律関係が現在の法律関係であることを要する。過去の法律関係は、原則として確認の訴えの対象とすることはできず、特段の事情がない限り、確認の利益を欠くものと解される。
重要事実
上告人は、昭和19年に土地を被上告人に売却したが、その後、昭和20年に「昭和30年12月20日までに原価で売り渡すこと」および「その期間中は他に売り渡さないこと」を内容とする再売買契約を締結したと主張した。上告人は、この再売買契約に基づく法律関係の確認を求めて提訴したが、事実審の審理および上告審の判断時において、既に定められた期間(昭和30年12月20日)は経過していた。
あてはめ
上告人が主張する法律関係は、昭和30年12月20日までに本件土地を売り渡すこと等を内容とするものであるが、判決時点において当該期間は既に経過している。そうである以上、上告人が主張する法律関係は、もはや現在の法律関係ではなく過去のものに属すると言わざるを得ない。過去の法律関係の確認を求めることは、現在の紛争を解決する手段として適切とは言えず、確認の利益を基礎付ける事由とはならない。
結論
確認の対象となる法律関係が過去のものに属する場合、上告人はその確認を求める利益を失っているため、本訴請求は主張自体失当として棄却される。
実務上の射程
本判決は、確認の対象が「現在の法律関係」でなければならないという原則を再売買契約の事案で示したものである。答案上は、確認の利益の検討において、対象が過去の法律関係である場合に「即時確定の利益」が否定される根拠として活用できる。ただし、過去の法律関係であっても、それが現在の権利義務の前提となっており、その確認が現在の紛争解決に有効適切な場合は例外的に認められ得るが、本判決はそのような例外を認めるべき特段の事情がない典型例を示している。
事件番号: 昭和38(オ)936 / 裁判年月日: 昭和40年11月25日 / 結論: 破棄差戻
手附倍戻しにより売買契約が解除されて終了したと主張して右売買契約が存在しないことの確認を求める訴は、文言どおり解すれば、過去の法律関係の確認を求めるのと異なるところがないが、右売買契約が解除された結果生ずべき現在の権利または法律関係について直接に確認または給付を求める趣旨が窺えないでもないから、原審としては、右請求につ…
事件番号: 昭和27(オ)191 / 裁判年月日: 昭和28年10月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買契約の不存在という単なる事実の確認を求める訴えは、書面成立の真否等の明文がある場合を除き適法ではないが、これを所有権の帰属という法律関係の確認を求める趣旨と解釈して審理することは許される。 第1 事案の概要:上告人(原告)は、被上告人(被告)に対し、本件不動産につき売買契約が存在しないことの確…
事件番号: 昭和29(オ)225 / 裁判年月日: 昭和31年4月10日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】売買の予約成立と予約完結権の行使は別個の概念であり、それらを混同して判決の不備を主張することは、上告理由となる重要な法令解釈の主張には当たらない。 第1 事案の概要:上告人は、原審における事実認定を非難するとともに、売買予約の成立と予約完結権の行使を混同した独自の解釈に基づき、原判決には理由の齟齬…