判旨
犯情の類似した犯人の間に処罰の差異が生じたとしても、そのことのみをもって憲法14条の法の下の平等の原則に違反するということはできない。
問題の所在(論点)
犯情が類似する他の犯人と比較して、量刑(実刑か否か)に差異が生じることが、憲法14条の法の下の平等に反するか。
規範
憲法14条が規定する平等の原則は、相対的平等を目指すものであり、個々の事案における具体的な犯情や諸般の事情に基づく裁判所の量刑判断の差異は、直ちに同条違反となるものではない。
重要事実
被告人は実刑判決を受けたが、弁護人は「犯情が類似している他の犯人と比較して、被告人のみを実刑に処したのは不当であり、憲法14条に違反する」として上告した。
あてはめ
本件において、被告人と他者の犯情が類似しているとしても、裁判所が記録上の諸事情を考慮して実刑に処した判断は、司法権の裁量の範囲内である。大法廷判例の趣旨に照らせば、処罰の差異は憲法14条違反を構成しない。また、本件記録を精査しても刑事訴訟法411条を適用して判決を破棄すべき顕著な不当性は認められない。
結論
犯情の類似した犯人間で処罰に差異があっても憲法14条には違反せず、本件上告は棄却される。
実務上の射程
量刑不当を憲法違反の問題として構成する主張に対する反論として有用。裁判官による個別の量刑判断は、極端な恣意性が認められない限り、平等原則違反の問題とはならないことを示す射程を持つ。
事件番号: 昭和28(あ)3180 / 裁判年月日: 昭和30年5月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法律で許容された範囲内において事実審裁判所が量定した通常の刑罰は、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には該当しない。 第1 事案の概要:上告人は、事実審において言い渡された刑罰が重すぎるとして、これが憲法36条で禁止される「残虐な刑罰」に該当し、憲法違反であると主張して上告した。 第2 問題の所在(…
事件番号: 昭和24(れ)710 / 裁判年月日: 昭和24年6月11日 / 結論: 棄却
一 本件の第一審裁判所は旭川地方裁判所名寄支部であり、公訴提起の檢察官は旭川地方檢察廳名寄支部檢事事務取扱である名寄區檢察廳副檢事慶松貞幹であることは一見記録上明確なところであり、所論も之を認めるところである。而してかかる場合公訴の有効であることは、既に當裁判所の判例とするところである。(昭和二三年(れ)第一六三號同二…
事件番号: 昭和24(れ)2772 / 裁判年月日: 昭和25年3月28日 / 結論: 棄却
論旨は、刑罰法令が犯罪に對する制裁として懲役刑と罰金刑とを選擇的に科すべきことを定めた場合において、裁判所が當該事件の被告人に對して懲役刑を選擇して科するときにはその理由を明らかにしなければならないというのであるが、舊刑訴法第三六〇條その他の規定によるもかゝる理由を付しなければならないと解すべき法的根據はないのであるか…
事件番号: 昭和25(れ)1840 / 裁判年月日: 昭和26年5月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項(現行刑事訴訟法405条等に相当)に基づき、適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:被告人側が上告を提起したが、その主たる理由は量刑が不当であるという点に尽きていた(具体的な犯罪事実は本判決文からは不明)。 第2 問題の所在(論点):量刑不…
事件番号: 昭和26(れ)2434 / 裁判年月日: 昭和29年1月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項の「その被告人に不利益な唯一の証拠」に該当するか否かは、証拠全体を総合して事実認定がなされているかによって判断され、自白以外に事実を裏付ける補強証拠が存在する場合には、自白のみによる有罪判決とはならない。 第1 事案の概要:被告人Bは、第一審および控訴審において有罪判決を受けた。弁護…