判旨
価格等の統制額を超えて契約した等の場合に成立する価格違反の罪において、販売価格が具体的に表示され、その価格が告示の統制額を超えていることが明らかであれば、犯罪事実の説明として十分である。また、告示の規格に該当しない物品であっても「その他の」という包括的区分に該当し得る。
問題の所在(論点)
価格違反の罪の成立において犯罪事実の摘示として何が必要か。また、特定の規格に該当しない物品が「その他の菓子」という包括的な告示区分に含まれるか。
規範
価格違反の罪は、価格等の統制を超えて契約等をした場合に成立し、有罪判決における犯罪事実の摘示としては、販売価格が具体的に表示され、かつその価格が告示に示された統制額を超えていることが明らかであれば足りる。また、告示における包括的な品目区分(「その他の菓子」等)は、個別に掲げられた規格に該当しない同種の物品すべてを包含すると解する。
重要事実
被告人は「せんべい」を販売したが、その販売価格が物価庁告示の定める統制額を超えていた。当該告示の別表には具体的な規格が複数掲げられていたが、被告人が製造・販売した「せんべい」はそれらの特定規格には直接該当しなかった。しかし、告示内には「その他の菓子」という区分が存在していた。被告人は、販売価格が具体的に示され統制額超過が明らかであること、および品目と告示の関係が明瞭であることを前提に、価格違反の罪に問われた。
あてはめ
本件では、被告人の販売価格が具体的に摘示されており、その価格が告示の統制額を超過していることが明白である。これは犯罪事実の説明として必要十分な記載といえる。また、被告人の製造した「せんべい」は、告示別表の特定規格には該当しないものの、それゆえにこそ「規格に該当しないすべての菓子」を指す「その他の菓子」という区分に該当すると評価される。さらに、原判決が品目と適用告示を対照させて示している以上、違反事実は明瞭に特定されている。
結論
被告人の行為は価格違反の罪を構成し、原判決に事実誤認や法令適用の違法はない。上告棄却。
事件番号: 昭和26(あ)5272 / 裁判年月日: 昭和28年4月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告理由として判例違反を主張する場合には、違反とされる判例を具体的に明示する必要があり、これを欠く主張は不適法である。また、刑の軽重の比較に誤りがあったとしても、それが判決に影響を及ぼさない場合には、原判決を破棄する理由とはならない。 第1 事案の概要:被告人が原判決に対し、判例違反および量刑不当…
実務上の射程
行政刑法における罪刑法定主義(明確性の原則)との関係で、包括的な区分(「その他の〜」)による処罰根拠の特定が肯定された事例として活用できる。答案上は、構成要件の明確性や事実摘示の程度が争点となる場面で、統制額超過という客観的事態の特定を重視する判断枠組みとして参照すべきである。
事件番号: 昭和26(れ)1602 / 裁判年月日: 昭和26年10月2日 / 結論: 棄却
然し原判決が認定していることは物価統制令第一三条の二(同令第三条)違反の事実であるから一定の公定価格を超過する価格で販売する目的である物品を所持していた事実を確定すれば判示事実としては十分であつて更にこれを買受けるであろうところの者の身分まで摘示しなければならないものではない(引用の大審院判例は本件の場合に適切なもので…
事件番号: 昭和26(れ)683 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
原判決が、判示第六の犯罪事実認定の証拠として、被告人の原審並に第一審公判における自白の外、Aに対する司法警察官の聴取書を掲げたのは、これを以て右被告人の自白を補強するためであつて、右聴取書におけるAの供述がその内容の全部に亘つて、右被告人の自白と符合するものではないとしても、少くとも、その外形的事実―例えば同人が自転車…
事件番号: 昭和26(れ)1174 / 裁判年月日: 昭和26年9月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】量刑不当の主張は、刑事訴訟法応急措置法13条2項に基づき、上告適法の理由にはならない。 第1 事案の概要:被告人が犯した罪の量刑が重すぎるとして、弁護人が上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):量刑不当の主張が、法的に適法な上告理由として認められるか。 第3 規範:上告審において量…
事件番号: 昭和26(れ)973 / 裁判年月日: 昭和26年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認や量刑不当の主張は、刑事訴訟法上の適法な上告理由に当たらない。また、職権による判決破棄事由が認められない限り、上告は棄却されるべきである。 第1 事案の概要:被告人Aおよび弁護人は、第一審・控訴審の判断に対し、事実誤認および量刑不当を理由として上告を申し立てた。弁護人は憲法違反も主張してい…