判旨
判決における「罪となるべき事実」とは、構成要件に該当する事実、違法性及び責任を基礎付ける事実を指し、その他の情状や証拠の評価に関する事項については、判決にその判断を明記することを要しない。
問題の所在(論点)
判決書において、被告人が主張するあらゆる事項について判断を記す必要があるか。特に「罪となるべき事実」以外の事項について判断を遺脱した場合に、判決に違法が生じるか。また、量刑の不当が直ちに憲法違反の上告理由となるか。
規範
判決書に記載すべき事項は、構成要件的充足性、違法性、有責性といった「罪となるべき事実」に限定される。これに該当しない事項や、刑の量定に関する判断、証拠の取捨選択の過程などは、特段の事情がない限り、判決理由として詳細に説示することを要しない。
重要事実
被告人が刑事事件において有罪判決を受けた際、原判決が特定の事項について判断を記さなかったこと、および刑の量定が不当であることを理由として、憲法違反等を主張し上告した事案である。弁護人は、原判決の判断漏れや量刑の不当性が裁判手続の適正を欠くものであると主張した。
あてはめ
被告人が主張する事項は、構成要件の該否や違法性・責任の存否に直接関わる「罪となるべき事実」には当たらない。したがって、原判決がこれについて判断を明記しなかったとしても、判決の構成上、何ら違法な点は認められない。また、量刑に関する不服は実質的には単なる事実誤認や不当の主張であり、憲法違反をいう点は前提を欠く。
結論
本件上告を棄却する。判決に「罪となるべき事実」以外の事項を記す必要はなく、量刑の不当を憲法違反として主張することは上告理由とならない。
実務上の射程
事件番号: 昭和25(あ)1225 / 裁判年月日: 昭和25年11月9日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑の量定に関する不当の主張は、刑事訴訟法405条に規定された適法な上告理由には当たらない。 第1 事案の概要:弁護人が原審の刑の量定を不服として上告を申し立てた事案であるが、具体的な犯罪事実や原審の判断内容の詳細は、本判決文からは不明である。 第2 問題の所在(論点):原審が裁量権の範囲内で行った…
刑事訴訟法における「判決に理由を付すべき事項」の範囲を画定する際の基礎的な指針となる。実務上、構成要件に直接関係しない抗弁や証拠の評価、情状に関する詳細な反論への対応義務を限定する根拠として機能する。
事件番号: 昭和26(れ)1758 / 裁判年月日: 昭和26年11月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】単なる量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由には該当せず、特段の事情がない限り同法411条による職権破棄の対象にもならない。 第1 事案の概要:上告人は量刑が不当であることを理由に上告を申し立てたが、原判決の量刑判断において具体的にどのような憲法違反や判例違反があるのかについては明確な…
事件番号: 昭和25(れ)1275 / 裁判年月日: 昭和25年12月12日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】上告趣意が原判決の違法を主張するものでない場合には、上告の適法な理由とはならないため、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が上告を申し立て、上告趣意書を提出したが、その内容が原判決の違法を主張するものではなかった。 第2 問題の所在(論点):上告趣意において原判決の違法を主張していな…
事件番号: 昭和25(あ)2458 / 裁判年月日: 昭和26年6月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】本件は、上告理由が単なる訴訟法違反や量刑不当の主張に留まり、刑訴法405条の定める上告理由に該当しないとして棄却された事例である。 第1 事案の概要:弁護人は、第一審または控訴審の判断に対し、訴訟手続に違反がある点(訴訟法違反)および言い渡された刑罰が重すぎる点(量刑不当)を理由として上告を申し立…
事件番号: 昭和26(れ)1249 / 裁判年月日: 昭和26年10月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】被告人の上告趣意が単なる量刑不当の主張にすぎない場合、刑事訴訟法405条の上告理由に該当しない。また、職権による破棄事由も認められない場合には、上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人が原判決の量刑を不当として上告を申し立てた事案である。判決文からは具体的な犯罪事実や経緯の詳細は不明であ…