旧国有林野法(明治三二年法律第八五号)施行前に大林区署が明治二四年勅令第一四四号大小林区署官制一条三号によつて付与された権限に基づいてした国有林野の境界査定処分の実体法規は、国有林野の境界査定処分に関する慣習法である。
旧国有林野法(明治三二年法律第八五号)施行前にされた国有林野の境界査定処分と実体法規
明治24年勅令第144号大小林区署官制1条3号,旧国有林野法(明治32年法律第85号)4条
判旨
訴訟委任を受けた訴訟代理人は、委任者が訴訟係属中に死亡してもその代理権を失わず、当該審級については当然に相続人の訴訟代理人となる。また、明治期の勅令に基づく官署の境界査定処分は、当時の慣習法に従い適法に行われたものであり、憲法上の財産権を侵害するものとはいえない。
問題の所在(論点)
1. 当事者の死亡により訴訟代理権は消滅するか。 2. 明治憲法10条に基づく勅令を根拠とし、慣習法に従ってなされた境界査定処分は、憲法上の財産権の保障に反し無効となるか。
規範
1. 訴訟代理権の不消滅(民訴法58条1項1号):訴訟委任をした当事者が死亡しても訴訟代理権は消滅せず、当該審級については当然に承継人の代理人としての地位が維持される。 2. 行政処分の合憲性・有効性:明治憲法下において、天皇の官制大権(同10条)に基づき発布された勅令に依拠し、当時の慣習法に従って行われた行政処分は、正当な権限に基づくものとして合憲かつ有効である。
重要事実
控訴人Dは、訴訟代理人に訴訟委任をした上で訴訟を提起したが、原審の訴訟係属中に死亡した。上告人AがDを相続したが、訴訟代理人を解任する手続は行われなかった。また、本案の争点として、明治25年に秋田大林区署が行った境界査定処分の有効性が争われた。この処分は明治24年勅令144号(大小林区署官制)1条3号に基づき、境界査定に関する慣習法に従ってなされたものであったが、上告人はこれが憲法27条(財産権)に違反し無効であると主張した。
事件番号: 昭和40(オ)654 / 裁判年月日: 昭和41年10月21日 / 結論: 棄却
地盤上に植栽された立木の所有権を取得した者は、明認方法等の対抗要件を備えないかぎり、右地盤(土地)を地上の右立木とともに買いうけ右土地についてその所有権移転登記を経由した第三者に対し、前記立木所有権取得を対抗することができない。
あてはめ
1. 代理権について:Dから訴訟委任を受けた代理人らは、Dの死亡により当然に承継人Aの代理人となる。Aによる解任の事実も認められない以上、代理権は有効に存続する。 2. 処分の有効性について:本件境界査定処分は、明治憲法10条に基づく正当な権限(勅令)を根拠としている。また、手続面においても当時の境界査定に関する慣習法を遵守して行われている。したがって、この処分が財産権を不当に侵害するものとはいえず、違憲・無効の瑕疵は認められない。
結論
1. 訴訟代理権は消滅せず、原審の訴訟手続に違法はない。 2. 本件境界査定処分は合憲かつ有効であり、上告を棄却する。
実務上の射程
訴訟代理権の不消滅(現行民訴法58条1項1号)に関する解釈を確認する際の基礎となる判例。実務上、当事者の死亡によって当然に訴訟手続が中断するわけではなく、代理人がいる場合は中断せず(同124条2項)、そのまま判決に至ることができる点に留意が必要。行政法上の論点としては、旧法下の処分の効力が現憲法下でも維持される判断枠組み(制度的連続性)の確認に用いる。
事件番号: 昭和39(オ)953 / 裁判年月日: 昭和40年12月16日 / 結論: 棄却
立木法の適用を受けない立木でも、右立木のみを土地から分離して独立して取引の対象とすることができる。右の場合において、一定の地番の上に生育の立木という以上、その立木の範囲は確定していると解するのが相当である。
事件番号: 昭和30(オ)129 / 裁判年月日: 昭和31年10月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】表見代理の成否に関し、代理人と称する者に権限があると信ずべき正当な事由の有無は、契約締結当時の諸事情に基づき客観的に判断されるべきである。本件では、代理人と称する訴外Dに権限があると信じたことについて、相手方の代理人に正当な事由が認められるとした原審の判断が維持された。 第1 事案の概要:上告人を…
事件番号: 昭和28(オ)620 / 裁判年月日: 昭和29年8月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】他人の代理人であることを示さず、他人の物を自己の物として売却した場合であっても、所有者が予めその処分行為を承諾していれば、当該売買は有効であり、買受人は直ちに所有権を取得する。 第1 事案の概要:上告人(所有者)は、訴外Dに対し、本件立木について「Dの手において自ら他に売却すること」を委ねる旨の合…