競買の申出の追認は、競売事件の完結後でも、有効にすることができる。
競買の申出追認の時期
競売法30条,民訴法666条
判旨
無権代理人によって行われた競買の申出という法律行為についても、事後に親権者等の法定代理人が追認することは可能であり、その追認は競売事件の完結後であっても有効になされ得る。
問題の所在(論点)
無権代理人によってなされた競買の申出を、競売手続の完結後に法定代理人が追認することの可否、およびその有効性が問題となった。
規範
無権代理行為の追認(民法113条1項)は、相手方の保護や取引の安全を害しない限り、事後的にその効力を自己に帰属させる意思表示として認められる。これは、競売手続における競買の申出のような手続的行為であっても、実体法上の追認の理を排除するものではなく、手続終了後であっても有効に行うことができる。
重要事実
被上告人の親権者Dが、無権代理状態で行われた競買の申出(競売不動産の買い受けの意思表示)について、事後にこれを追認した。この追認が行われた時点では、すでに対象となる競売事件の手続自体は完結していた。上告人側は、競売事件完結後の追認は無効であると主張して、その効力を争った。
事件番号: 昭和33(オ)389 / 裁判年月日: 昭和34年11月5日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】無権代理行為が行われた後に、本人が無権代理人の個人的責任を免除する趣旨で了解の言辞を述べたとしても、それだけでは無権代理行為を追認したことにはならない。 第1 事案の概要:無権代理人Fが、本人D及びその母Eに無断で判示の行為(無権代理行為)を行った。その後、Fの懇請を受けたD及びEは、Fがなした行…
あてはめ
本件では、被上告人の法定代理人である親権者Dが、競買の申出という行為を明確に追認している。競売事件が完結しているという事実は、追認によって生じる実体法上の効果(権利の帰属)を妨げるものではない。したがって、手続の完結にかかわらず、追認によって当該競買の申出は有効な代理行為として確定し、被上告人にその効果が帰属すると解される。
結論
競買の申出に対する追認は、競売事件の完結後においても有効になされ得る。したがって、当該追認を有効とした原審の判断は正当である。
実務上の射程
無権代理行為の追認の時期制限に関する判断である。訴訟行為や行政手続的な要素を含む行為であっても、実体法上の利益帰属が問題となる局面では、手続終了後の追認を認める余地を示している。答案上は、民法113条の追認の時期について、相手方の権利を害さない限り特段の制限がないことを論証する際の補強として活用できる。
事件番号: 昭和42(オ)1391 / 裁判年月日: 昭和45年12月24日 / 結論: 破棄差戻
無権代理人甲が乙の代理人と称して丙と締結した抵当権設定契約を乙が追認したのち、甲が乙の代理人と称して丁と抵当権設定契約を締結した場合において、丁が甲に乙を代理して右抵当権設定契約をする権限があると信ずべき正当の事由を有するときは、乙は、民法一一〇条および一一二条の類推適用により、甲のした抵当権設定契約につき責に任じなけ…
事件番号: 昭和41(オ)431 / 裁判年月日: 昭和42年12月22日 / 結論: 棄却
訴状をもつて賃貸借契約の解約申入れをした事実および右解約申入れによる賃貸借契約終了の効果の発生を主張し、その後において右主張を撤回したからといつて、右解約申入れがされた事実までが消滅するものではなく、さらにその後において再度右主張をすることができる。